音楽イモ

食べて約10分経つと、おならがメロディーとして流れる「音楽イモ」は、口を閉じたままでも自然と演奏できてしまうというちょっと下品な道具です。しかしそのギャグ要素たっぷりの特性が、のびたを思わぬ活躍の場に連れて行きます。

おならでメロディーを奏でる忘年会

スネ夫の家で忘年会とかくし芸をすることになったのびたですが、何をすればいいか迷っています。ドラえもんに助けを求めると、なんとドラえもんは口を閉じたまま「はとぽっぽ」を歌い始めたではありませんか!

音楽イモで歌うドラえもん
世にも不思議な光景

ドラえもん4巻「メロディガス」P118:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

秘密を聞いてみると、どうやら音楽イモを食べていたらしく、これを使えばおならでメロディーを流すことができるんだとか!はじめは嫌がっていたのびたですが、他に芸があるわけでもなく、結局音楽イモを使うことに。本当は一口食べるだけで十分なところを、のびたはばくばく食べてしまったことが原因で、のびたのガス(おなら)は爆発寸前!

逃げるのびたをスネ夫とジャイアンが抑え込みますが、その衝撃でのびたのおならは爆発し、空へ飛んでいってしまいました。

スネ夫のおしり探しにも大活躍

音楽イモは、なにもかくし芸だけが使いみちではありません。だるま落としのように体の一部を取り外すことができるひみつ道具「だるまおとしハンマー」でスネ夫のおしりが行方不明になってしまったことがあります。その時にスネ夫が音楽イモを食べ、メロディーの音を頼りにおしりを探したこともありました。

ギャグ要素たっぷりの音楽イモ

それにしても、おならを我慢している時ののびたの様子はギャグ要素がたっぷりありますね。おならを芸術化させたといか言いようがありません。

歌詞が変わる

音楽イモで歌詞が変わる
臭いが漂ってきそうな一コマ

ドラえもん4巻「メロディガス」P122:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

あまりにもおならを我慢しすぎたことが原因で、おなら演奏の歌詞が変わっています。本当は「ポッポッポ、ハトポッポ」が正しい歌詞ですが、「プップップ〜、ハトブップ〜」になってますね。

音楽センスのあるしずかちゃん

しずかちゃんのヘ長調
さすがしずかちゃん

ドラえもん4巻「メロディガス」P122:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

のびたの歌(おなら)を聞いて「ヘ長調ね」と言い切るしずかちゃん。さすがピアノを習っているだけありますね。でもこれって「へ(屁)長調」とかけているのでしょうね。

臭いはじめる

臭いが漂う音楽イモ
雲行きが怪しくなってきた

ドラえもん4巻「メロディガス」P122:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

そしてとうとう部屋中に広がりはじめるおならの臭い。女性陣はハンカチで鼻を抑えています。ここまで来ると、のびたもさすがに限界を迎えます。必死に歌って会場を沸かせたまではよかったものの、食べ過ぎた音楽イモのせいで台無しになってしまいました。

やはり使いみちはかくし芸か?

使い方を間違えなければ、某腹話術氏のような人形を使っての芸や、一人デュエットなどができそうですね。宴会のかくし芸で使えば、盛り上がることは間違いなしです。

用法・容量を守って楽しみましょう

音楽イモは、知らない人からすると本当に不思議なひみつ道具です。口を閉じているのに、どうやって歌っているのか、誰もが興味津々です。のびたのように食べ過ぎると大失敗してしまうので、音楽イモを食べる時は用法・容量を守って決められた量だけ食べるようにしましょう。

音楽と食べ物を組み合わせた発想の妙

「食べると音が出る」というひみつ道具の発想は、いかにも藤子・F・不二雄先生らしいユーモアに満ちています。食べることと音楽という、一見まったく関係のない2つの要素を組み合わせたアイデアは、子どもが読んで素直に「おもしろい!」と思えるシュールさがあります。しかもただ音が出るのではなく、「おならでメロディーが流れる」という下品さを加えることで、ギャグ漫画としての笑いを最大化しています。上品な方向性で仕上げることもできたはずですが、あえてこのアプローチを選んだのが子ども向けコミックの真骨頂といえます。

また、食べ過ぎると爆発するというリスク設定も巧みです。適量であれば芸として使える道具が、欲張って食べすぎたことで逆効果になるという展開は、「度が過ぎると失敗する」という教訓をコミカルに伝えています。のびたがかくし芸の場でドタバタを引き起こすという結末は、音楽イモのリスクをしっかりと理解させながら、読者を笑わせるという二重の効果を生み出しています。

スネ夫の忘年会でのびたが輝く理由

ドラえもんのエピソードの中で、のびたが主役として輝く場面は意外と少ないですが、音楽イモのエピソードではのびたが忘年会の主役になるという珍しい展開が描かれます。普段は勉強も運動も苦手で存在感の薄いのびたが、音楽イモという道具を使って場の中心になれたのです。口を閉じたまま歌うという不思議な芸は、誰も真似できないオンリーワンの個性として輝きを放ちます。

もちろんその後食べすぎによる大失態で終わるのですが、一時でも輝けたのびたの姿は、「苦手なことがある子でも、何か一つ得意なことを見つければ輝ける」という前向きなメッセージとも重なります。ひみつ道具の力を借りているとはいえ、場の雰囲気を読んでフル活用したのびたの機転は評価されるべきでしょう。音楽イモは、のびたの意外な一面を引き出した道具としても記憶に残ります。

音楽イモが存在する未来の食品文化

音楽イモが未来の子ども向けおやつとして作られたというなら、未来にはこんな食べ物が当たり前に存在しているのかもしれません。食べると特定の効果が発生する食品というコンセプトは、現代でもサプリメントや機能性食品として一定の発展を遂げています。しかし「おならでメロディーが流れる」という用途は、純粋に娯楽・エンターテインメントのためのものです。

未来の世界では、食品が単に栄養を補給するためだけでなく、体験や感情を演出するためのものとして発展しているのかもしれません。食べると体が光る食品、食べると笑い声が出る食品、食べると眠れる食品——音楽イモはそうした「体験としての食品」の一形態として位置づけられます。子どものかくし芸用のおやつという一見するとバカバカしい発想の中に、食品の可能性についての深い想像力が潜んでいるのがドラえもんらしいところです。

現代でいうと何に近いか?

音楽イモの効果を現代の技術に当てはめるとしたら、人体の生体反応を音楽信号に変換する技術に近いかもしれません。心拍数や呼吸のリズムをリアルタイムで音楽に変えるというデバイスは、すでにアート作品として実験的に存在しています。ただし音楽イモのように「おならで演奏する」という直接的かつユニークな方式は、あくまでもドラえもんの世界ならではの発想です。未来の食品技術として考えれば、特定の成分を含む食品が消化される過程で特定の作用を生み出すという仕組みは、薬理学的にも面白いコンセプトです。音楽イモはそれをエンタメとして昇華させた、ドラえもんらしい未来の食品といえます。

食べ物系の変わったひみつ道具は他にも登場します。コンクフードは食べ物を半練り状に圧縮した非常食で、音楽イモとは対照的に実用一辺倒の道具です。もちせいぞうマシンはもち米からおもちを全自動で作る道具で、食文化に関わる道具として共通します。音楽イモのようにおならで体に変化が起きるという発想は、バイバインのように食べ物が予期せぬ結果を招くという点でも共通します。楽しい芸という観点ではシネラマンのように娯楽を生み出す道具とも同じ方向性を持ちます。

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