めざましロボット

朝になると頭をポカポカ叩いて徹底的に起こしてくれる「めざましロボット」の紹介です。さすが未来のひみつ道具、人を起こす手段も進化しているようで、どれだけ寝ぼすけさんでも安心です。

家出には不必要?

両親と大喧嘩したことで家出を決意したのび太。ドラえもんから奪い取ったいくつかのひみつ道具の中に「めざましロボット」が入っていました。

暖かくて滞在先として最適と判断した島で一休みして翌朝を迎えたのび太。持ってきためざましロボットに叩き起こされ、家出初日から嫌な気持ちで目覚めてしまったのび太は、吐き捨てるように言い放したのです。つまんないものもってきたな、と。

たしかに無人島へ家出するという状況だけを考えると、めざましロボットは優先順位の低い道具に見えます。食べ物、移動手段、住まい、連絡手段など、もっと切実に必要なものはいくらでもあるからです。しかし、家出を「生活」として続けるなら、朝に起きる仕組みは意外と重要です。自由になったつもりでも、昼夜逆転してだらけてしまえば、あっという間に無人島生活は破綻します。

のび太がこの道具をつまらないと感じたのは、家出先でも日常のルールを突きつけられたからでしょう。せっかく親の小言から逃げ出したのに、未来のロボットにまで朝から叩かれる。道具そのものよりも、「結局どこへ行っても起きなければならない」という現実がのび太には腹立たしかったのかもしれません。

進化する目覚まし時計

ドラえもんの世界のように科学技術が発達した時代でも、目覚まし時計はまだまだ使われているようです。ただし今とは違う「人を叩いて起こす」という技術が採用されています。

朝に叩き起こす目覚ましロボット
コミカルな動きが特徴

ドラえもん14巻「無人島へ家出」P81:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

これだとほぼ確実に目覚めることができます。コミックでは詳しく紹介されていませんが、スヌーズ機能がついていたり、叩く強度を調整する機能もあることでしょう。どれだけ寝ぼすけさんでも安心ですね。

現代の目覚まし時計は音、光、振動、スマートフォン通知など多様化していますが、めざましロボットはその中でもかなり直接的です。音を止めて二度寝する、スマホを裏返して眠る、といった逃げ道を許してくれません。人間の怠け心をよく知ったうえで、物理的に起こしにくるところに未来道具らしい容赦のなさがあります。

一方で、あまりにも強引な起こし方は使う人との相性が出そうです。朝が弱い人には頼もしい存在ですが、静かに起きたい人や、寝起きの機嫌が悪い人にはかなり厳しい道具でしょう。家族全員を巻き込む大音量アラームよりは範囲が限定されるものの、叩かれて起こされる本人のストレスはなかなか大きそうです。

自ら飛び出す使命感

のび太が無人島にひみつ道具を持ってきた時、全てを風呂敷に包んでいました。

ひみつ道具を風呂敷に包んで眠るのび太
ロボットが抜け出るような隙間は無さそうだが・・・

ドラえもん14巻「無人島へ家出」P81:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

つまりめざましロボットも風呂敷に包まれていたはずなのですが、翌朝になるとなぜかめざましロボットだけが風呂敷の外に出ています。のび太が仕掛けたわけではないところを見ると、めざましロボットが朝になったことを感じ取り、風呂敷の中から自分で抜け出して、のび太を起こしたものと考えられます。

自分の使命はご主人を起こすこと。ただそのためだけに生まれためざましロボットは、どんな状況でも臨機応変に対応してくれる優秀な存在です。

この使命感の強さは、宿題をやるロボットとも共通しています。あちらも宿題をこなすという一点に特化したロボットで、どちらも「特定の用途に全振りした」未来のロボットというコンセプトが面白いところです。

めざましロボットのその後

無人島生活に不必要と判断されためざましロボットがその後登場することはありません。おそらくのび太にポイっと投げ捨てられてそのへんに転がっていることでしょう。

ただ、めざましロボットの電源を完全に切っておかないと、自動的に朝を感知して毎朝叩き起こされることになります。これは推測ですが、はじめのうちは朝ダラダラと無人島生活を送っていたのび太も、めざましロボットに起こされるうちに規則正しい生活に目覚め、寝坊しなくなったのではないでしょうか?

もしそうだとすれば、めざましロボットはのび太の無人島生活における数少ない「まともな生活習慣」を守っていた道具だったとも言えます。家出という非日常の中で、毎朝同じ時間に起こす存在がいるだけで、日々に区切りが生まれます。のび太本人はありがたがらなかったでしょうが、長い目で見ると健康管理ロボットに近い役割を果たしていた可能性もあります。

現実世界では目覚ましひとつでこれほどドラマが生まれる。ドラえもんの道具の中には、こうした小道具にすぎない存在にも深い味わいがあるものが多く、めざましロボットもその一例です。

眠りや起床にまつわるひみつ道具は他にも様々あり、たとえばムユウボウは眠っている人を動かす道具ですが、めざましロボットとは正反対に、眠らせたままにしておく方向の使い方をします。また、グッスリまくらのように深い睡眠をサポートする道具もあり、起こす道具と眠らせる道具が対になっているのも、ドラえもんの世界の面白さです。

さらに、うつつまくら気ままに夢見る機のように、眠っている間の夢体験を豊かにするひみつ道具も存在します。めざましロボットがその夢体験をぶった切って現実に引き戻すという役割を果たすとすると、夢世界へのアクセスを遮断する番人のような存在とも言えるかもしれません。

たかが目覚まし、されど目覚まし。のび太の無人島生活を支えた(迷惑をかけた?)めざましロボットは、ほんの一場面にしか登場しないながら、ドラえもんのひみつ道具の中でもひときわユニークな存在感を放っています。

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