気ままに夢見る機

好きな夢カセットを選んで眠るだけで、自由に夢の内容を選べるひみつ道具が「気ままに夢見る機」です。夢と現実を入れ替えるかくしボタンも搭載されており、夢の中から現実世界を操作することさえできる、非常に高機能な夢体験装置です。

夢幻三剣士の世界はここから

夢の中なら大活躍できるのに・・・。勉強も運動もできないのび太は夢の世界に憧れを持ちます。気ままに夢見る機は夢カセットを選んで自由に夢を見られるひみつ道具で、夢幻三剣士の世界もここからスタートするのです。

気ままに夢見る機
おねしょ対策はしっかりと・・・

大長編のび太と夢幻三剣士P28:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

夢が現実に、現実が夢に入れ替わる不思議な物語はどんな結末を迎えるのでしょうか。

のび太が夢に期待する気持ちは、単なる現実逃避だけではありません。現実では失敗ばかりでも、夢の中なら勇者になれるし、誰かを助けることもできる。気ままに夢見る機は、そんな「別の自分になってみたい」という願いをそのまま形にした道具です。夢幻三剣士の物語が人気を集めるのも、夢の世界だからこそ許される壮大な冒険と、そこに巻き込まれていく現実の怖さが同時に描かれているからでしょう。

夢を自由に選択します

気ままに夢見る機は好きな夢カセットを選び、寝ている間に夢を見せてくれるひみつ道具です。コミック38巻に登場するドリームプレーヤーでも似たようなことができますが、より版アップしたものが気ままに夢見る機と考えるといいでしょう。

第三者が夢をモニターで覗いたり、他人に強制的に同じ夢を見させることができるなど、豊富な機能が特徴です。

ただし、夢を外から覗けるという機能はかなり強烈です。本人にとって夢はもっとも無防備な内面の世界であり、そこをモニターできてしまうとなると、娯楽機器であると同時にプライバシーを大きく揺るがす装置でもあります。ドラえもんの道具は便利さと危うさが表裏一体になっているものが多いですが、気ままに夢見る機もまさにその典型です。

さらに、他人に同じ夢を見させられる点も見逃せません。ひとりで楽しむ夢から、みんなで参加する共有型の夢へ。これは映画やゲームを超えて、体験そのものを共有する娯楽といえます。未来のエンターテインメントとして考えると非常に魅力的ですが、悪意を持って使われれば、本人の意思とは関係なく危険な夢に閉じ込められる可能性もあります。

豪華なソフトつき

標準で備わっているソフトは多岐にわたります。

  • SF
  • アクション
  • メロドラマ
  • 西部劇
  • オカルト、など

これ以外でもソフトは別売りされており、この物語の舞台となる夢幻三剣士も特別販売された(仕組まれた?)ソフトでした。

夢のコンテンツがカセットという形で流通しているという設定は、今でいうサブスクリプション型の体験サービスとも重なります。好みの体験を手軽に選べる点では、ゆめコントローラーのようにリモコンで夢の展開を操作する道具とはまた違ったアプローチです。夢の内容を事前に選ぶのか、夢の途中で操作するのかという違いが面白い対比になっています。

カセットを差し替えるだけで夢のジャンルを選べるという仕組みは、時代を感じさせながらも妙に説得力があります。映画を見るように夢を選び、ゲームを始めるように眠りにつく。眠る時間が退屈な休息ではなく、ひとつの娯楽時間になるわけです。もし現実にあれば、寝る前に「今日は西部劇にするか、SFにするか」と悩むだけで楽しくなりそうですね。

かくしボタンの存在意義

気ままに夢見る機にはかくしボタンが存在し、それを押すと夢と現実世界が入れ替わってしまいます。リモコンで夢の中から操作することも可能で、いつでも世界を入れ替えることができるので安心だとドラえもんは言いますが、かなり危険であることを認識しておく必要があります。

気ままに夢見る機
危険なボタンである

大長編のび太と夢幻三剣士P100:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

空を飛んだり戦ったり傷ついたりしても大丈夫なのは、あくまでも夢の中の仮想世界だからです。現実世界でこれをやってしまうと取り返しがつかない事態になるおそれもあります。もちろん良いことの恩恵も受けますので、プラスに作用することもあるでしょう。

とはいえ、何が起こるかわからないかくしボタンは、安易に使うべきでないと思われます。夢と現実が混在する状況という点では、うつつまくらも夢の内容を現実にしてしまう道具ですが、あちらは意図的に現実を夢に切り替えるのに対し、気ままに夢見る機のかくしボタンはより強制的で不可逆な印象があります。

夢の中の仮想体験という観点では、ソーナルじょうも頭の中で考えたことを現実体験として感じられる道具ですが、あちらは錠剤を飲む形式で、自分の思考がそのまま体験になるという違いがあります。気ままに夢見る機のように事前に選んだシナリオに沿って体験するわけではないので、予測不能度という点ではソーナルじょうの方が高いともいえます。

また、ゆめたしかめ機のように夢の真偽を確かめる道具もある中で、気ままに夢見る機は夢の内容そのものを設計できるという点で、ドラえもんの夢関連道具の中でも特に高度な部類に入ります。

夢だからこそ本気になれる

気ままに夢見る機の面白さは、夢をただ安全な遊び場として描いていないところにあります。夢だから何をしても大丈夫、夢だから失敗してもやり直せる。そう思って始めたはずなのに、夢幻三剣士では次第に夢の出来事が現実とつながり、登場人物たちも本気で向き合わざるを得なくなっていきます。

これは、のび太にとって大きな成長の場でもあります。現実世界では頼りないのび太が、夢の世界では剣士として冒険し、仲間とともに困難へ立ち向かう。たとえ舞台が夢であっても、そこで感じた恐怖や勇気、悔しさは本人にとって本物です。気ままに夢見る機は、単に楽しい夢を見せるだけでなく、普段の自分とは違う役割を経験させる装置でもあるのです。

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