ガチガチン

ガチガチンは、飲むと性格がドが付くほどガチガチに真面目な人間に変わってしまうひみつ道具です。やりすぎなくらい真剣で、スパルタになるほど几帳面な性格に生まれ変わります。コミックプラス6巻にっくきあいつに登場し、のび太がしずかちゃんの家庭教師を懲らしめようとして使った道具ですが、その結果は予想外の展開を招きます。真面目さを極端な方向へ増幅させるという効果のため、使う相手と状況によってその結果は大きく変わります。

しずかちゃんと家庭教師

しずかちゃんが大学生の家庭教師とイチャイチャする姿を見て嫉妬心の塊になるのび太。チャラチャラした彼の性格を変えるためにガチガチンを飲ませたところ、超スパルタな人間に大変身!

ガチガチン
勉強に燃える大学生

出典:ドラえもんプラス6巻「にっくきあいつ」P24:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

やりすぎを理由に解雇された大学生でしたが、今後はのび太の家庭教師になろうとしているではありませんか……。

のび太としては嫌いな家庭教師を追い払うつもりでガチガチンを使ったのに、結果的に自分の家庭教師になると言い出してしまうという、完全に予期せぬ展開です。しずかちゃんへのアプローチを封じようとした道具が、自分の勉強地獄を招く逆効果を生むというのは、のび太の作戦がいかに裏目に出やすいかを示しています。嫉妬心から他人を変えようとしたのに、その変化が自分に降りかかってくるという皮肉は、ドラえもんのコメディの醍醐味のひとつです。

真面目な性格にします

ガチガチンを飲むとドが付くほど、しかもやりすぎなぐらい真面目な性格に生まれ変わります。

教える立場の人なら徹底的に教え込もうとする姿勢からスパルタな性格になってしまうのです。

性格を変える道具という意味では、ドラえもんのひみつ道具の中でもユニークな部類に入ります。外見を変えるのではなく内面を変えるという発想は、22世紀ならではの技術力の高さを感じさせます。ガチガチンの効果は真面目さという方向性が決まっていますが、真面目さが職業や立場によって異なる形で表れるというのがポイントです。勉強をする立場なら勉強に真剣になり、教える立場なら教えることに真剣になるというように、その人の役割に応じた形でガチガチの真面目さが発動します。つまり、どんな人物に使うかによって結果が大きく変わる道具であり、使う前にその人がどんな役割を持っているかをよく考える必要があります。チャラチャラした家庭教師に使ったら超スパルタ教師になったように、想定外の形で真面目さが発現することもあるわけです。

レアなシーン

ドラえもんの中ではヒロイン的存在のしずかちゃんが被害を受けることはそうそうないのですが、この回では珍しいシーンが見られます。

ガチガチン
現代ではちょっとやりすぎである

出典:ドラえもんプラス6巻「にっくきあいつ」P25:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

スパルタになった家庭教師が竹刀でしずかちゃんに振りかかるシーンで、めったにこういう様子は見られません。

ごく稀にしずかちゃんはこうやって体を張るシーンがあり、気になる人はこちらにまとめているので御覧ください。

このシーンはガチガチンの効果がいかに過激かを示す場面でもあります。普通の家庭教師がここまでスパルタになるというのは、真面目さが極端な方向に振り切れた結果です。昭和の時代なら体罰が当たり前だったとはいえ、竹刀を持ち出すほどのスパルタぶりは現代の感覚では驚きの光景です。ガチガチンの恐ろしさは、相手の性格を良い方向に変えようとしていても、それが過剰になりすぎて周囲が迷惑するほどのレベルになってしまう点にあります。真面目であることは美徳ですが、それが行き過ぎると周囲への圧力になるということを、このシーンは示しています。

のび太が飲むとどうなるか?

性格を過剰なまでに真面目にしてしまうガチガチンをのび太が飲むとどうなるのでしょうか?今回は他者に飲ませる形で使われましたが、もし自分で飲んでいたら、のび太のどの性格が強調されてしまうのか、想像するだけで面白いです。

のび太の性格を表すとすると、

  1. のんびり
  2. 平和主義
  3. ちょっぴりエッチ

あたりでしょうか。

これらの性格のまま極端な真面目方向に振り切ると、

  1. のんびり→せっかち
  2. 平和主義→超平和主義
  3. ちょっぴりエッチ→女性を見ただけで気絶

行動はとにかく早いけど、競争心が一切なく、外に出歩くことすら困難を感じる人、のように日常生活に支障が出るであろうレベルの人間になりそうです。

のび太の場合、もともと競争心が薄く平和的な性格ですが、ガチガチンによって超平和主義になってしまうと、ジャイアンに絡まれても全く反論できなくなるどころか、争い事から逃げ続ける一方になりそうです。これはこれで別の意味で困った状態です。嫉妬心の強いのび太がガチガチンを飲んだ場合、その嫉妬心が極端に真面目な方向へと変容し、しずかちゃんへの思いが純粋すぎるほどの一途さになってしまうかもしれません。それはそれで怖い気もします。

また、勉強に関してのんびりしているのび太がせっかちになれば、今まで後回しにしていた宿題を即座にこなすようになるかもしれません。しかしそれが本来ののび太の姿でないことを考えると、効果が切れた後の反動が心配です。ガチガチンの効果が永続するのか一時的なものなのかは作中では明確に示されていませんが、おそらく一定時間が経てば元の性格に戻ると考えられます。元に戻った時のギャップと安堵感は、本人にとって相当なものでしょう。

食べる・食べ物系の道具としては、アンキパンのように頭に影響を与える食べ物も存在しますが、ガチガチンは頭ではなく性格に作用するという点でユニークです。アンキパンが勉強内容を記憶させるという頭への働きかけであるのに対し、ガチガチンは性格という内面的なものを変えるという、より深いレベルへの介入です。コンクフードのように体を変化させる食べ物とは違い、内面的な性格を変えるというのは、ドラえもんの道具の中でも珍しい効果です。

性格を変える道具が持つ根本的な問題は、それが本当にその人のためになるかどうかという点です。今回の大学生の場合、チャラチャラした性格をスパルタ気質に変えましたが、それがのび太の望む結果を招かなかったように、他人の性格を勝手に変えることには大きなリスクが伴います。ドラえもんのひみつ道具はしばしば他者の意思を無視して変化を与える道具が登場しますが、それが正しい選択かどうかは常に問いかけられています。

同じコミックプラス6巻のセルフアラームチリつもらせ機新聞社ごっこセットと合わせて読むと、この巻のひみつ道具がいかに日常の様々な場面に介入してくるかがよくわかります。恋愛、時間管理、財産、報道と、それぞれ違う場面で活躍する道具たちが揃っており、コミックプラス6巻はひみつ道具のバリエーションが豊かな一冊です。いずれの道具も、使う目的は正当に見えても、その結果が思わぬ方向に転がるという展開が共通しており、ひみつ道具が人間の都合通りには動かないというテーマが全体を貫いています。

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