アンキパン

パンに転写したことをすっかり記憶してしまう——そんな夢のような道具がアンキパンです。

受験生なら喉から手が出るほど欲しいひみつ道具でしょうし、資格試験や仕事の勉強にも役立ちそうです。

100%記憶してしまう

アンキパンを食べて記憶したことはすっかり脳に記憶されます。どんなに難しい計算だろうが、電話帳に書かれている知らない人の電話番号であろうが、アンキパンにかかれば楽勝で覚えることができます。

これをいかし、テストや資格試験の重要情報を自分でノートにまとめ、それを丸ごと記憶してしまえば、点数アップ・合格率アップにつなげることができます。

勉強系の道具としては、睡眠中に記憶できるべんきょうねまきや、記憶を映像として取り出せる記憶とり出しレンズなども存在しますが、アンキパンのシンプルさと手軽さはほかにありません。

イメージを具現化したひみつ道具

アンキパンはコンセプトがとてもいいですよね。

  • 情報を転写する
  • 食パンを採用
  • 食べると記憶する

情報そのものを食べて覚えてしまうという、子どもでもわかりやすい構図です。その材料として食パンを使っているのもわかりやすさを補強しています。誰でも知っていてイメージしやすい食材だからこそ、アンキパンを知らない人が見ても一発で食べたら記憶できるんだなと連想できますよね。

記憶は一生残るわけじゃない

アンキパンで覚えた記憶は一過性のもので、ずっと脳に残るわけじゃありません。パンが胃の中で消化され、体外に排出されると記憶も消えてしまいます。コミックでは、アンキパンを食べすぎてお腹を壊したのびたがトイレに駆け込みましたが、ドラえもんが覚えたことをすっかり出してしまったと口にしています。

ひみつ道具のアンキパン
アンキパンの効果はせいぜい1日が限度か

ドラえもん2巻「テストにアンキパン」P13:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

そのため、アンキパンを使って記憶できるのはせいぜい1日が限界と考えられます。

ノートにペタリ……汚いの?

ノートや電話帳など、文字の上からアンキパンを押し付けてパンに情報を転写し、そのパンを食べると脳に記憶される仕組みです。パンを直接触れさせるため、ノートの使い方が汚いと、なんとなく衛生面に不安が残ります。二十二世紀のひみつ道具なので、おそらくアンキパン自体に汚れがつかない特殊仕様になっていて、子どもが食べても安心・安全なんでしょう。

食パンをそんなに大量に食べられるか?

とても魅力的なアンキパンですが、そもそも食パンってそんなに大量に食べられるのか疑問が残ります。朝食で食べたとして1人1枚が普通じゃないでしょうか。食べる人でも2枚がいいところ。コミックに登場するのは市販の食パンとほとんど同じ大きさのため、そこに収まる情報量はたかが知れています。そのため、効率的に知識を吸収するためにも、

  • 情報をぎっしり書き込んだノートを用意する
  • フレンチトーストなど、パンを調理して食べる
  • パン粉にしてまぶして食べる

などの方法が考えられますね。パンを調理したり、パン粉みたいに削っても記憶が定着するかは不明ですが……。

アンキパンの使いみち

アンキパンはテストや試験前だけじゃなく、役者さんのセリフを覚える時にも使えますよね。他にも、

  • アナウンサーの原稿
  • スピーチ原稿
  • プレゼンの資料

などを覚える時にも重宝しそうです。

現代でもアンキパンはある

ドラえもんのひみつ道具を再現した現代のアンキパンは存在します。そもそも材料が食パンなので、かんたんに作れてしまうんですよね。神奈川県川崎市にある藤子・F・不二雄ミュージアム。この中にあるカフェ(食べログはこちら)でアンキパンを食べることができます。

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お土産で売られているアンキパンラスクもあり、見た目もとてもかわいいです。

もちろんコミックのように情報を記憶できるわけではありませんが、こうやって目の前に出されるとテンションが上がりますよね。言語の壁を一瞬で越えるほん訳コンニャクと並んで、食べ物系ひみつ道具の代表格といえるでしょう。コンピューターペンシルのような記憶・学習系道具と組み合わせれば、さらに効率的な勉強ができそうです。

このひみつ道具が印象に残る理由

このひみつ道具の面白さは、ただ便利なだけではなく、使った瞬間に日常の見え方が少し変わるところにあります。ドラえもんの道具は、困りごとを一発で解決してくれるように見えて、実際には使う人の性格や判断がそのまま結果に出ます。のび太が使えば楽をしたい気持ちが前に出ますし、ドラえもんが使えば助けるための道具になります。同じ道具でも、誰がどんな目的で使うかによって印象が変わるのです。

また、名前や見た目が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手の届きそうな形の道具で実現してしまう。そこに読者が「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。物語の中での出番が短くても、発想がはっきりしている道具は記憶に残りやすいですね。

日常で使うなら注意したいこと

もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えたいのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きな騒動に広がることがよくあります。便利さに気を取られるほど、基本的な確認を忘れてしまうのです。

効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。そこまで含めて考えると、単なる便利グッズではなく、未来の技術との付き合い方を教えてくれる存在だといえるでしょう。

読者が想像を広げやすい道具

作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんなトラブルが起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。

ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。

もう一歩踏み込んで考える

この道具を本当に使うなら、最初に小さな目的から試すのがよさそうです。いきなり大きな問題を解決しようとすると、効果の予想が外れた時に被害も大きくなります。まずは安全な場所で、短い時間だけ使い、どこまで思い通りになるのかを確かめる。未来の道具であっても、慎重な試運転は欠かせません。

そして、道具に頼りすぎないことも大切です。ひみつ道具はきっかけを作ってくれますが、最後にどう行動するかは使う人しだいです。のび太が失敗してもどこか憎めないのは、道具に振り回されながらも、そこに人間らしい弱さや願いが見えるからでしょう。

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