好きなストーリーを選んで夢を見せてくれる「ドリームプレーヤー」。眠っている時間の効果的な活用法として、夢の内容をあらかじめカセットで選べるというのが最大の魅力です。
のびたの教訓
お正月の夜、テレビ番組の代わりに初夢を見ようということでドラえもんはドリームプレーヤーを取り出します。たくさんのカセットから好きなストーリーを選んでセットすると、寝ている間にその夢を見ることができるというまさに夢のようなひみつ道具です。
夢を選べるという最高の夢 ドラえもん38巻「ドリームプレーヤー」P33:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
のびたが選んだのは教訓がテーマの夢。途中で嫌になって何度もカセットを交換したつもりでいましたが、実はその全てが最初に見た教訓のストーリーの一環だったというオチを迎えるのでした。
夢を選べるうれしさ
夢だけは誰にも邪魔されない自分だけの時間。普段はできないことも何でもできます。そんな夢をカセットで選択できるというのがドリームプレーヤーの最も大きな魅力でしょう。
同じ夢系の道具でも、気ままに夢見る機は夢の世界と現実を入れ替えるかくしボタンまで付いた高機能版です。ドリームプレーヤーはより日常使いに近い形で、カセットを選ぶだけというシンプルな操作が特徴です。グッスリまくらで眠りに入った後、ドリームプレーヤーで夢の内容を整えるという組み合わせができたら、睡眠時間が充実したものになりそうです。
豊富なカセットがあります
用意されているカセットの一例はこちら。
- SF
- 西部劇
- 時代劇
- スリラー
- メロドラマ
- ドキュメント
- 教訓、など
好きなジャンルを選ぶと友達や知人が夢に登場して独自のストーリーが展開されるのです。ゆめグラスのように夢の内容を外から覗く道具と組み合わせれば、自分が見ている夢を後で振り返るような楽しみ方もできそうです。
途中で止めることはできません
カセットを止めているつもりだったが、実は止まっていなかったのだ ドラえもん38巻「ドリームプレーヤー」P36:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
もしその夢が面白くないと思っても途中でストップすることはできません。のびたは何度もカセットを交換したつもりでいましたが、実はすべて最初に見た教訓のストーリーの一環だったことが最後に判明します。
この仕様は、ツモリガンが夢の中でやったつもりの満足感を作る道具であることと対照的です。ドリームプレーヤーは開始前に選んだ内容がそのまま最後まで続くため、カセット選びが非常に重要になってきます。ゆめコントローラーのように夢の途中で展開を変えられるわけではないので、事前のカセット選択に慎重さが求められます。
夢の中だけでも楽しい世界を
どれだけ辛い現実が待ち受けていようと、夢の世界で好きなことができれば生きる活力が生まれるでしょう。明るい前向きな気持ちが行動力を生むかもしれませんし、問題解決の糸口になるかもしれません。
学習意欲の高い人は睡眠時間でさえ効果的な学習時間にしようとするでしょう。もしドリームプレーヤーが実現すれば画期的な発明として長く愛される道具になることでしょう。
夢に入る道具という意味では、夢はしごのように他人の夢へ移動できるものもあります。ドリームプレーヤーはあくまで自分が選んだシナリオの夢を見るものですが、夢はしごは他者の夢空間を訪問するという、まったく異なるアプローチです。どちらも眠っている時間を豊かにするという点では共通していますが、主体性の置き方が違います。
また、うつつまくらのように夢と現実が入れ替わってしまう道具と比べると、ドリームプレーヤーは夢はあくまで夢として完結する点が安心です。朝起きたら現実に戻れる。それが保証されているからこそ、安心して好きなシナリオを選べるのでしょう。のびたが教訓の夢から逃げようとして逃げきれなかった結末も含めて、夢というものが思い通りにはいかない面白さをこの道具はよく引き出しています。
カセット選びに性格が出る
ドリームプレーヤーの面白いところは、どのカセットを選ぶかに使う人の性格が出ることです。冒険を選ぶ人、恋愛ものを選ぶ人、スリラーで刺激を求める人、教訓を選んで少しまじめな気分になる人。眠る前の選択ひとつで、その人が今どんな気分なのかが見えてきます。
のびたが教訓の夢に振り回される展開も、単に道具に意地悪されたというより、夢を都合よく楽しもうとする気持ちへのツッコミに見えます。教訓の夢を選んだ以上、最後まで教訓を受け取ることになる。途中で逃げたつもりでも、その逃げる行動までストーリーに組み込まれているのが、この道具の怖くてうまいところです。
現実の動画配信サービスなら、つまらなければすぐ止めて別の作品へ移れます。しかしドリームプレーヤーは、眠っている間に体験するものなので、視聴者でありながら登場人物にもなってしまいます。夢の中で自分が動き、驚き、困り、学ぶ。その体験は、ただ映像を見るよりもずっと強く心に残るでしょう。
娯楽と教育の境目
もしドリームプレーヤーが現実にあれば、娯楽だけでなく教育にも使われそうです。歴史のカセットを見れば、その時代を歩いているように学べるかもしれません。理科のカセットなら宇宙や深海を体験できるでしょう。眠っている時間に物語として知識を得られるなら、勉強が苦手な人にも向いています。
ただし、夢の中で学んだことがどこまで正確に記憶へ残るのかは気になります。楽しかった印象だけが残り、細部はあいまいになるかもしれません。だから本格的な学習というより、興味の入口として使うのが良さそうです。ドリームプレーヤーは、眠る時間をただの休息ではなく、心を動かす体験時間に変えてくれる道具なのです。
また、家族や友達と同じカセットを使った場合、同じ夢を見るのか、それぞれ違う配役で似た夢を見るのかも気になります。もし同じストーリーを共有できるなら、朝起きた後に「あの場面はすごかった」と語り合う楽しみが生まれます。映画を観た後の感想会に近いですが、本人が夢の中で体験しているぶん、話はもっと盛り上がるでしょう。
反対に、悪夢系のカセットやスリラーを軽い気持ちで選ぶと、眠ったのに疲れて起きることになりそうです。夢は体が休んでいる時間ですが、心が強く揺さぶられれば朝の気分にも影響します。ドリームプレーヤーは楽しい娯楽機器である一方、どんな夢を見るかを自分で選ぶ責任も伴う道具なのです。
特に「教訓」のカセットが用意されている点は面白いです。未来の夢コンテンツは、ただ楽しいだけでなく、眠っている間に反省や学びを与える教材にもなっているのでしょう。のびたにとってはありがた迷惑でしたが、親や先生から見ればかなり魅力的なカセットかもしれません。
夢の中では逃げたつもりでも、実は大きな物語の中にいる。このオチがあるから、ドリームプレーヤーは単なる夢のビデオ再生機ではなく、体験型の物語装置として記憶に残ります。
寝る前にどんな夢を選ぶかで、翌朝の気分も変わるはずです。楽しい夢なら一日を明るく始められますし、教訓の夢なら少し反省した気持ちで起きるかもしれません。睡眠時間を心の調整に使える点でも、かなり魅力的な道具です。
夢を選ぶという小さな行為が、翌日の自分を少し変えるかもしれない。そこにこの道具のロマンがあります。眠る前の時間まで楽しみに変えてくれる道具です。




