ガムを半分ずつ分けて食べると、相手にも同じ食事の味が伝わる「おすそわけガム」。あらかじめ様々な人にガムを配っておけば、食べている最中に複数の人と味を同時に楽しめる不思議な道具です。
ガムで食事をおすそわけ
おすそわけガムの半分を自分が食べ、残りの半分を他人に食べさせます。その状態で食事をすると、相手にも食事の味が伝わるという不思議な効果があります。毎日のおやつが貧相だと感じていたのびたは、おすそわけガムを手当たり次第に友達に配り、おやつの味を満喫します。
のびたの意地悪い顔 ドラえもん11巻「おすそわけガム」P84:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
あやしく思ったジャイアンがガムの半分を野良犬にあげてしまったので、のびたの口の中は残飯の味でいっぱいになり、残念な結末を迎えてしまうのでした。
のびたはガムを吐き出せばいいのでは?と感じてしまう ドラえもん11巻「おすそわけガム」P87:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
ガムを噛みながら食事をするか?
管理人がおすそわけガムの存在を知ってからというもの、長年の疑問だったのが「ガムを噛みながら食事をするか?」というものです。おすそわけガムで味を分け合うためには、お互いがガムを口の中、もしくは体内に入れておく必要があります。食事をする時は口の中のガムは捨ててしまうし、ガムを飲み込んで処理する人もごく一部だと考えられます。野良犬などの動物は何でもかんでも飲み込んでしまうのは理解できますが、人間のケースを考えるとちょっと無理がありそうな気がします。
お腹が満たされる効果もあり?
おすそわけガムは味を楽しむだけでなく、同時に満腹感も満たされることがわかっています。おすそわけガムを配りすぎたために、いつまでたっても食事が続いてしまい、お腹がいっぱいになったのびたが描かれています。
お腹が膨れる効果もあり ドラえもん11巻「おすそわけガム」P86:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
これをうまく利用すれば、同じ食事の量でも複数人のお腹を同時に満たすことができます。食料が乏しい時などは上手に使い分けるとよさそうですね。コンクフードのように少量で多くの食料を賄える道具と組み合わせれば、さらに食料の節約ができそうです。
スネ夫の舌は本物
おすそわけガムの欠点として、ガムを分割するほど食事の味もそれに比例して薄まってしまうことがあげられます。例えばドラえもんとのびたは、1枚のおすそわけガムを3等分し、
- ドラえもん
- のびた
- スネ夫
の3人でガムを食べ、スネ夫の普段の豪華な食事を堪能しようとしました。この時スネ夫は「いつもの3分の1くらいに味が薄いな」と的確に指摘しています。
スネ夫の舌は伊達じゃない ドラえもん11巻「おすそわけガム」P84:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
普段からいい食材ばかり食べて舌が肥えているスネ夫は、メロンの薄い味に気付くだけでなく、どれくらい薄まっているかという具体的な数値まで言い当てています。性格に難ありのスネ夫ではありますが、プロ顔負けの味覚を持っているといっても過言ではないでしょう。
ガムを吐き出せばよかったのでは?
コミックのオチは、野良犬が食べたおすそわけガムのせいでのびたが悩み苦しむというシーンで終わりを迎えました。これも長く疑問に感じていたのですが、のびたは口の中に入っているであろうガムを吐き捨てればよかったのではないでしょうか?野良犬はガムを飲み込んでいるでしょうし、あとはのびたが対応するしかない状況の中、とても簡単な解決策のように思えます。それをやっていないところを見ると、
- のびたはガムを飲み込んでいた
- 吐き出すのを忘れていた
- あえて描かなかった
ということが考えられます。あまりのショックに吐き出すのを忘れていたというのはのびたらしい行動ですが、現実的に考えると「3. あえて描かなかった」というのが有力な線でしょうか。
食事を共有する道具としての価値
おすそわけガムは食事の味を他人と共有するという発想が非常にユニークです。遠く離れた場所にいる相手とも、ガムさえ渡しておけばリアルタイムで食事の味を共有できるわけです。家族や友人が遠方にいる時でも、同じ食事の時間を味覚の面で共有できるというのは、食の楽しさを広げる素敵な発想ですね。音楽イモが食べることで体に変化を起こす道具であるのに対し、おすそわけガムは食事の感覚を他者と共有するという点でより社会的な道具といえます。
食べ物系のひみつ道具は他にも多く登場します。ようろうおつまみは食べてから水を飲むとお酒の味になる道具で、食べ物で飲み物を変えるという発想が共通します。味のもとのもとはふりかけるだけで何でもおいしそうに見えて食欲を抑えられなくなる道具で、食事の魅力を操作するという点でおすそわけガムと似た性質があります。チューイングピザはガムのように噛んで食事ができる携帯食として、同じガム形態の食べ物道具として興味深い存在です。もちせいぞうマシンのように食べ物を製造する道具と組み合わせれば、製造した食事の味をおすそわけガムで離れた人と共有するという活用方法も考えられます。
このひみつ道具の魅力
このひみつ道具が面白いのは、効果そのものが分かりやすいだけでなく、使った瞬間に日常のルールが少し変わるところです。ドラえもんの道具は、ただ便利なだけでは終わりません。のび太が使えば調子に乗り、ドラえもんが使えば問題解決の手段になり、周囲の人が関わるとさらに騒動が広がっていきます。同じ道具でも、使う人と場面によってまったく違う表情を見せるのです。
また、見た目や名前が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手に取れそうな形の道具で実現してしまう。そこに「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。作中での出番が短い道具でも、発想がはっきりしていれば読者の記憶に残ります。
実際に使うなら注意したいこと
もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えるべきなのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きなトラブルへ広がることがよくあります。
効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。便利さに気を取られず、どう使えば誰も困らないかを考えることが大切です。
読者が想像を広げやすいポイント
作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんな失敗が起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。
ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。
道具に頼りすぎない大切さ
ひみつ道具は、困った状況を一気に変えてくれる強い味方です。しかし、道具があるからといって、使う人の問題まで自動的に解決されるわけではありません。のび太が失敗しやすいのは、道具の性能を過信して、準備や確認を省いてしまうからです。未来の技術であっても、使う人の判断が甘ければ騒動の原因になります。
だからこそ、この道具を考える時は「何ができるか」だけでなく、「どこまで任せてよいか」も見ておきたいところです。自分の弱点を補うために使うのか、誰かを助けるために使うのか、それともただ楽をするために使うのか。目的が変われば、同じ道具でも読後感は大きく変わります。






