スピードどけい

時間の進み方を自分でコントロールすることができる夢のようなひみつ道具、スピードどけいを紹介します。のび太は夏休みを満喫するためにスピードどけいを使うのですが、後先かんがえずに使ったために大後悔することになってしまったのです。

針をすすめて時間を変える

スピードどけいの針をすすめると時間が進む単純な仕掛けが特徴です。

スピードどけいの使い方
のび太の目がちょっと怖い

ドラえもん10巻「スピードどけい」P158:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

夏休みが待ちきれないことを理由に気軽に時間を進めて休みを満喫するのび太。プールに行きたい(のび太+しずかちゃん)だの、朝顔の成長を早くみたい(ジャイアン)だの、自分たちのやりたい放題に時間を変更します。結果的に時間を無駄遣いしすぎて夏休みの宿題をやる余裕がなくなり、ドラえもんがスピードどけいを逆戻しにして何もなかった状態に戻るというオチで終了します。

途中の出来事は起こっている

スピードどけいを使うことにより、体感的にはあっという間に時間が過ぎ去ったように感じますが、その間の出来事はすべてちゃんと起こっています。朝顔の成長を見てもわかるように、時間が超特急で進んでいる間でもしっかり成長していることをみると、スピードどけいは全世界に影響を及ぼす大変な道具であることがわかります。

一種のタイムマシンか?

ドラえもんの世界ではいくら時間をすっ飛ばしたところで、誰も何も気付いていないように普通の生活を送っています。時間が早く進めば誰だって異変に気付くはずですし、社会生活が大混乱することは容易に想像できます。このことから、スピードどけいは一種のタイムマシンである可能性があります。

スピードどけいの影響は全世界に及ぶ
時間を簡単に考えると恐ろしいことになる

ドラえもん10巻「スピードどけい」P160:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

時間が早く進めば誰だって異変に気付くはずですし、社会生活が大混乱することは容易に想像できます。このことから、スピードどけいの使用者もしくはその周辺にいる人だけが一瞬のうちに未来の世界に移動していると考えるのです。そうすれば使用者と周囲の人にとっては時間が一瞬で経過したように見え、それ以外の人たちはずっと同じ時間軸で生活を続けるだけなので違和感を感じることもありません。

気に入らなければ巻き戻し

スピードどけいのいいところは、時間を巻き戻すことができることです。夏休みの宿題をやる時間がなくなったのび太を見て、ドラえもんはスピードどけいを全てリセットして何もなかった頃に戻してしまったのです。

スピードどけいをリセットするドラえもん
元に戻せるのはうれしい

ドラえもん10巻「スピードどけい」P161:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

もちろんその間に置いた出来事は全てなかったことになり、すでに夏休みを満喫していたはずのジャイアンやスネ夫も、夏休みになったような気がしたがまだ2日もあるんだね、というセリフをしゃべっていました。

周囲の記憶も都合よく巻き戻すことができ、嫌なことがあれば時間を元に戻せるというのはかなりすごい効果です。ドラえもんの道具について真剣に考え始めるとキリがないので、あくまでもマンガの中の設定ということで楽しむことにしましょう。

巻き戻しができるという点では、逆時計も時間をビデオテープを巻き戻すように逆行させる道具で、スピードどけいの巻き戻し機能と共通する発想を持っています。ただし逆時計の場合は使用者以外の記憶も逆戻りするため、周囲に影響が及ぶという違いがあります。

イマニ目玉が数時間先の未来をピンポイントで見せるひみつ道具なのに対し、スピードどけいは時間の流れそのものを操作するという点でスケールが大きく異なります。

時間を自在に操るという発想ではタイムマシンが最も基本的な道具ですが、タイムマシンが過去や未来への移動手段であるのに対し、スピードどけいは現在の時間の流れ方を変えるという独自の機能を持っています。タイムふろしきが物体を過去や未来の状態に変えるように、スピードどけいは時間という概念そのものに働きかけているところが面白いですね。

人生やりなおし機と組み合わせるなら、スピードどけいで先に時間を進めて結果を確認してから、気に入らなければ人生をやり直すという使い方ができそうです。ただし、ドラえもんの道具について真剣に考え始めるとキリがないので、あくまでもマンガの中の設定ということで楽しむことにしましょう。

このひみつ道具が印象に残る理由

このひみつ道具の面白さは、ただ便利なだけではなく、使った瞬間に日常の見え方が少し変わるところにあります。ドラえもんの道具は、困りごとを一発で解決してくれるように見えて、実際には使う人の性格や判断がそのまま結果に出ます。のび太が使えば楽をしたい気持ちが前に出ますし、ドラえもんが使えば助けるための道具になります。同じ道具でも、誰がどんな目的で使うかによって印象が変わるのです。

また、名前や見た目が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手の届きそうな形の道具で実現してしまう。そこに読者が「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。物語の中での出番が短くても、発想がはっきりしている道具は記憶に残りやすいですね。

日常で使うなら注意したいこと

もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えたいのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きな騒動に広がることがよくあります。便利さに気を取られるほど、基本的な確認を忘れてしまうのです。

効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。そこまで含めて考えると、単なる便利グッズではなく、未来の技術との付き合い方を教えてくれる存在だといえるでしょう。

読者が想像を広げやすい道具

作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんなトラブルが起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。

ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。

もう一歩踏み込んで考える

この道具を本当に使うなら、最初に小さな目的から試すのがよさそうです。いきなり大きな問題を解決しようとすると、効果の予想が外れた時に被害も大きくなります。まずは安全な場所で、短い時間だけ使い、どこまで思い通りになるのかを確かめる。未来の道具であっても、慎重な試運転は欠かせません。

そして、道具に頼りすぎないことも大切です。ひみつ道具はきっかけを作ってくれますが、最後にどう行動するかは使う人しだいです。のび太が失敗してもどこか憎めないのは、道具に振り回されながらも、そこに人間らしい弱さや願いが見えるからでしょう。

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