人生やりなおし機

今の能力のままで過去に戻ってやり直すことができたら……そんな夢を叶えてくれるのが、人生やりなおし機です。一見すると理想的な道具なのですが、調子に乗ると大変なことになってしまいます。

のび太の人生のやりなおし

今の知識や体力のままで子どもの頃に戻りたい。そんなのびたの願いを叶えるためにドラえもんが出したのが、人生やりなおし機です。今もっている能力はそのままに、人生の特定の時期にタイムスリップし、全く別の人生を歩むことができます。

小学四年生ののびた(10歳)が選んだのは4歳当時の自分に戻ることでした。4歳ながら知能は小学二年生並みなので、周囲が驚く天才!として褒め称えられるのびた。

天才児のび太に驚く家族
天才児のび太、あらわる

ドラえもん15巻「人生やりなおし機」P107:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

将来は優秀な学者になることまず間違いなし!と意気揚々ののびたがタイムテレビで自分の未来を確認します。するとそこには、今よりますますダメになった自分の姿でした。天才ともてはやされたことをいいことに全く勉強しなくなったのびたは学力が低下し、悲惨な人生を歩んでいたのです。

勉強したことがないのび太
人生絶望しかない

ドラえもん15巻「人生やりなおし機」P112:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

この事実を知ったのびたは現代に戻り、勉強しなくても頭がよくなる機械を発明しようと勉強に精を出すのでした。

頭のよくなる機械を発明するために勉強を頑張るのび太
のびたの頑張りポイントは様々

ドラえもん15巻「人生やりなおし機」P113:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

人間の中身を変えるべき

幼少期に戻って一時的に天才になったのびたですが、結局考え方はなまけものなんですね。人生やりなおし機に頼りっぱなしののびたを見たドラえもんは、機械に頼らず人間の中身を変えるべきだと強く諭します。

人間の中身を変えるべきというドラえもんの名言
人生論を説く、ドラえもんのありがたい言葉

ドラえもん15巻「人生やりなおし機」P110:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

さすがののびたも今回の結果には相当まいってしまったようですね。このままではダメになる。だから行動しよう。とても単純なことのように聞こえますが、実は行動を起こすのは相当難しいのです。自分ごととして捉えることができたのびたは、今後もしっかり成長することでしょう。

パラレルワールドとして存在(予想)

人生やりなおし機で昔に戻ると過去が変わります。過去が変われば未来にも影響が出そうなものですが、そこはパラレルワールド(並行世界)になると考えられます。要するに、今まで通りののびたが生活する世界もあれば、天才児ののびたが生活する世界も同時に存在し、2つの世界は異なる次元で進んでいるという考え方です。これに関しては明確な答えはありませんが、そう考えておくのが最も自然といえるでしょう。

タイムテレビとの組み合わせが優秀

人生やりなおし機とタイムテレビはぜひセットで揃えておきたい組み合わせです。

関連ひみつ道具

手元で過去・未来を見れる便利なテレビ型ひみつ道具

タイムテレビ

現代の人々が「人生のやり直し」を望む瞬間は様々です。キャリアの転換点で、恋愛の終わりに、家族との関係に後悔した時——そうした場面で人生やりなおし機があれば、と誰もが一度は思うでしょう。しかしのびたのエピソードが教えてくれるのは、やり直した先でも自分の本質的な部分は変わらないということです。環境や状況をいくら変えても、自分自身の思考パターンや行動の癖が同じであれば、同じような結果が待っています。本当に変わりたいのであれば、やり直す場所ではなく、やり直す自分そのものを変える必要があるのです。

のびたのように、未来がわかれば今を変えることもできます。理想の人生を送るために、一緒に使いたいですね。

同じ時間操作系の道具として、タマシイムマシンも魂を過去に送り込むひみつ道具ですが、タマシイムマシンは自分の魂が過去の自分の体に乗り移るのに対し、人生やりなおし機はそのまま幼い自分の体に戻るという違いがあります。今の知識を持ったまま幼少期に戻るという体験は根本的に同じでも、その仕組みは異なっています。

スピードどけいが時間の速度を変えて気に入らなければリセットできるのと同様、人生やりなおし機もやり直しという概念を持つ点が共通しています。ただし人生やりなおし機は文字通り人生規模の話なので、スケールが格段に大きいですね。

なお、イマニ目玉で数時間先の未来を確認してから人生やりなおし機で過去に戻るという使い方もできそうですが、イマニ目玉が見せてくれる未来はあくまでも直近の出来事であるため、人生の大局を変えるにはタイムテレビとの組み合わせが現実的です。

もし自分が人生やりなおし機を使うとしたら

人生やりなおし機を使うとしたら、いつの自分に戻りたいでしょうか。多くの人が「あの時こうしていれば……」と思う後悔の瞬間を持っているはずです。受験に失敗した時、大切な人に言えなかった言葉があった時、あの選択をしなければよかったと思う岐路——そういった過去の瞬間に今の自分で戻れるとしたら、確かに魅力的な道具です。

しかしのびたの例が示すように、今の能力や知識だけが人生をよくするとは限りません。今の自分がどんなに賢くなっても、怠けてしまう性格が変わらなければ結果は同じです。人生やりなおし機は、「環境ではなく自分自身が変わらなければ意味がない」という教訓を体験させてくれる道具なのです。本当の意味での人生のやりなおしは、機械ではなく自分の意識の変革から始まるのかもしれません。

「やりなおし」への普遍的な憧れ

人生やりなおし機が示す「過去に戻ってやり直したい」という欲求は、人間にとって非常に普遍的な感情です。誰もが後悔の瞬間を持ち、あの時こうしていれば違う人生があったかもしれないと思うことがあります。そのシンプルな夢をひみつ道具で実現してしまったのが人生やりなおし機です。

しかし藤子・F・不二雄先生はその夢が必ずしも幸せをもたらさないことをのびたの失敗で示します。過去をやり直したとしても、人間の本質的な部分——怠け癖、短所、思考のクセ——は変わらない。だから同じような失敗を繰り返してしまう。人生をよくするために本当に必要なのは過去を変えることではなく、今の自分を変えることだというメッセージが、この道具のエピソードには込められています。最先端のひみつ道具を使っても変えられないものがある——それを伝えることで、ドラえもんは単なる便利道具の紹介を超えた深みのある物語を生み出しています。

天才ともてはやされることの落とし穴

人生やりなおし機のエピソードで最も鋭いメッセージは、「天才と持て囃されることの危険性」です。のびたは4歳の体で10歳の知識を持って登場したため、周囲に天才と思われました。しかしそれは本当の実力ではなく、能力の差から生まれた錯覚に過ぎません。それでものびたは天才扱いに気をよくして努力を怠ってしまいます。

「楽して得た地位は長続きしない」というテーマは、現代でも非常に普遍的な教訓です。スポーツでも学業でも仕事でも、地道な努力の積み重ねなしに得た成果は砂の上の城と同じです。ドラえもんが「機械に頼らず人間の中身を変えるべきだ」と語るシーンは、子ども向けのコミックの中で描かれた最もシンプルで本質的な人生訓の一つとして、多くの読者の記憶に残っています。のびたが最終的に「勉強しなくていい機械を作るために勉強する」という行動に出るオチは、逃げ道を探しながらも前に進もうとするのびたらしさが出ていて、笑えながらも応援したくなります。

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