手紙を出す前から相手の返事が届いてしまうという驚きのひみつ道具が、返事先どりポストです。手紙のやり取りを先読みして、結果だけを先に知ることができます。
手紙を出し忘れた時に大活躍
のび太のママが友だち宛に出した手紙の返事がなかなか来ないと心配していましたが、実はパパが単純に投函し忘れていただけということが判明しました。慌てふためくパパを見てドラえもんが出したひみつ道具が、返事先どりポストです。
返事先どりポストを使うとすぐに友だちからの返事が来て、パパも一安心するというシーンが描かれましたね。
郵便局いらず ドラえもん2巻「出さない手紙の返事をもらう方法」P184:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
出さない手紙の返事をもらう
返事先どりポストに手紙を投函すると、コトリという音とともに相手からの返事がポストの中に届きます。しかし実はこれ、実際に本人から手紙が来ているわけではなく、返事先どりポストの中のコンピューターが、もしこの手紙を出したらこういう返事が来ますよ、と未来の出来事を教えてくれています。
そのため、いくら返事先どりポストで手紙のやり取りをしたところで、現実世界で話が進んでいるわけではなく、手紙の内容だけ未来を先どっている何とも不思議な現象が起こります。実際には手紙を出していないのにその返事をもらう。
時間を自在に操るタイムテレビが映像で未来を確認するのと似た発想ですが、返事先どりポストは手紙のやり取りという日常の行為に特化しているところが特徴的です。
ドラえもんのひみつ道具を使うと、こんなことだって叶えられてしまうのです。
意外とうるさい返事先どりポスト
返事先どりポストを使うためには、実際の手紙のやり取りに従う必要があります。住所は正確に書き、切手を貼る必要もあります。
厳密なひみつ道具 ドラえもん2巻「出さない手紙の返事をもらう方法」P189:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
切手料金まで細かく見られてしまうため、無料で手紙のやり取りができるわけじゃないんですね。
使い方によっては夢のようなひみつ道具かも
返事先どりポストを上手に使うと、毎日の生活がグッと楽になるかもしれません。
懸賞品の応募
懸賞のハガキを出せば、その場で応募結果がわかりますね。応募するだけハガキが必要になりますが、時間をセーブするのに役立ちます。
通信販売
ネット注文ではなくハガキから注文するタイプの通信販売であれば、必要事項を記入して先どりポストに投函すれば、すぐに品物が届きますね。Amazonよりも早く到着するので、相当便利かもしれません。
憧れのあの人への手紙
実際に手紙を出すわけじゃないので、コミックの中ののび太のように、思いっきり恥ずかしいラブレターを事前に実験することができます。返事を見ながら手紙の内容を微調整し、完璧な手紙に仕上がったところで本物のポストに投函すれば、狙った憧れの人もイチコロです。
先の展開を把握してから動ける点では、イマニ目玉が未来を視覚的に確認するのと同じ発想で、返事先どりポストは手紙のコミュニケーションに特化した未来確認ツールといえます。
実際には出していないことに注意
便利にみえる返事先どりポストですが、勘違いしてはいけないのは、実際には手紙を出していないということ。例えばコミックでのび太のママは、返事先どりポストから出てきた手紙に対して返事を書いていました。しかし、最初の手紙はのび太のパパによって投函し忘れた状態のままなので、のび太のママの友だちにしてみれば手紙の内容は意味不明になってしまいますよね。おそらくこのあとパパはママに問い詰められて白状する結果になるのでしょうが、あくまでも返事先どりポストは架空のやり取りだということを忘れてはいけませんね。
架空ながらも返事が先に分かるという意味では、あらかじめ日記が先に未来を書いておくことで実現させてしまうのと対照的で、こちらは実現はしないが先読みだけができる道具です。また、人生やりなおし機のように過去に戻って別の選択をしたいと思ったとき、この道具で先に返事を確認してから判断できれば最強の組み合わせになりそうです。
同じ時間関連の道具としてスピードどけいも興味深い存在で、あちらは時間の進み方そのものをコントロールするのに対し、返事先どりポストは時間の流れはそのままに、手紙の未来だけを先取りするという独自の仕組みを持っています。
このひみつ道具が印象に残る理由
このひみつ道具の面白さは、ただ便利なだけではなく、使った瞬間に日常の見え方が少し変わるところにあります。ドラえもんの道具は、困りごとを一発で解決してくれるように見えて、実際には使う人の性格や判断がそのまま結果に出ます。のび太が使えば楽をしたい気持ちが前に出ますし、ドラえもんが使えば助けるための道具になります。同じ道具でも、誰がどんな目的で使うかによって印象が変わるのです。
また、名前や見た目が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手の届きそうな形の道具で実現してしまう。そこに読者が「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。物語の中での出番が短くても、発想がはっきりしている道具は記憶に残りやすいですね。
日常で使うなら注意したいこと
もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えたいのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きな騒動に広がることがよくあります。便利さに気を取られるほど、基本的な確認を忘れてしまうのです。
効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。そこまで含めて考えると、単なる便利グッズではなく、未来の技術との付き合い方を教えてくれる存在だといえるでしょう。
読者が想像を広げやすい道具
作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんなトラブルが起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。
ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。
もう一歩踏み込んで考える
この道具を本当に使うなら、最初に小さな目的から試すのがよさそうです。いきなり大きな問題を解決しようとすると、効果の予想が外れた時に被害も大きくなります。まずは安全な場所で、短い時間だけ使い、どこまで思い通りになるのかを確かめる。未来の道具であっても、慎重な試運転は欠かせません。
そして、道具に頼りすぎないことも大切です。ひみつ道具はきっかけを作ってくれますが、最後にどう行動するかは使う人しだいです。のび太が失敗してもどこか憎めないのは、道具に振り回されながらも、そこに人間らしい弱さや願いが見えるからでしょう。




