物体を立体的に瞬間的にコピーすることができる立体コピー紙の紹介です。その再現度はかなり高く、人間をコピーすると本物と見分けがつかないほど精巧な作りになっています。
留守番ののびた
ママが外出する間の留守番が面倒くさいドラえもんとのびたは、立体コピー紙でのびたのコピーを作り、それを家に置いておこうと作戦を立てます。この立体コピー紙、紙に触れるとそのリアルなコピーを作ることができる不思議な力があります。留守番をさぼるためにひみつ道具を使うという発想は、いかにものびたとドラえもんらしい本末転倒な使い方ですが、それが笑いを生む典型的なパターンです。
コピー紙は繰り返し使用可能 ドラえもん13巻「立体コピー」P162:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
紙でできたのびたのコピーは風にあおられて街を飛び回り、泥棒発見の手助けをしたり、溺れる子どもを助けるなど、のびた本人が知らないところで大活躍!留守番をすっぽかしたことでママはカンカンでしたが、人助けの功績が認められてお咎め無しというオチを迎えたのでした。のびたが意図せずして善行を積むというこの展開は、コピーが自分の意思とは無関係に動いた結果であることが面白いです。
驚異の再現率
立体コピー紙で作るものは本物とほとんど区別がつかず、おまわりさんが近くで見てもコピーだということに気づかないほどです。
この近距離で見ても気づかれない精巧さ ドラえもん13巻「立体コピー」P166:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
もちろんコピーなので喋ることはできませんが、リアルな見た目は人の目を惑わすのに十分すぎる効果があります。現代でいうところの3Dプリンターと同じようなものですが、それよりもずっとお手軽ですね。紙に触れるだけで瞬時にコピーが完成するという速度は、現実の3Dプリンターとは比較にならない即時性を持っています。
コピーは一瞬
紙に触れるものはなんでもコピーできるのが大きな特徴ですが、走る車でさえコピーします。地面に立体コピー紙を敷き、その上を車が通るだけで立体的なコピーが完成してしまうのです。動く物体であってもコピーできるという点は、この道具の用途を大きく広げます。工場の製品から自然物まで、あらゆるものを瞬時に複製できるとすれば、その活用範囲は計り知れません。
風で飛んでしまう
のびたたちのように家の外でコピーを留守番させるのはちょっと危険です。あくまでも紙で作ったコピーなので、風にあおられて飛んでいってしまうのです。このエピソードでは風に飛ばされたのびたのコピーが街中で活躍するという予想外の展開につながりましたが、本来は望ましくない事態です。使う場所や環境をよく考えてから使う必要があります。
水には強い
紙のコピーなのに水濡れにはめっぽう強い立体コピー紙。川で溺れる子どもを助けたのびたコピーですが、水に濡れても破れたりふやけたりすることは一切ありませんでした。
紙なのに水濡れにも強い ドラえもん13巻「立体コピー」P167:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
おそらく特殊な紙が使われているのだと推測されます。紙でありながら水にも強く、見た目は本物と区別がつかない。22世紀の素材技術の粋を集めたものが、この立体コピー紙なのでしょう。現実の紙の概念を超えた素材であることが、この道具の使用範囲を広げています。
新しいコレクションブームの到来
もし立体コピー紙が現代で開発されると、新しいコレクションブームとして有名人の等身大コピーが出回ると予想します。好きなアイドルや芸能人の等身大コピーがコレクション性を刺激すると考えるのですが、いかがでしょうか。収納場所にこまるかもしれませんが、紙なのでかんたんに処分できます。問題は倫理的な点ですが、そこはまた今度考えることにしましょう。
コレクションとしての活用だけでなく、博物館の展示物の複製や、貴重な文化財の保存用コピーという形での活用も考えられます。本物と区別がつかないレベルの精度であれば、展示物の保護と公開を両立する手段として非常に有効です。立体コピー紙は娯楽道具にとどまらず、文化・教育の分野でも革命的な可能性を持っています。
コピー・分身系のひみつ道具
物体や人をコピー・複製する道具は数多く登場します。コピーロボットは自分そっくりの分身を作る道具で、立体コピー紙と同じく留守番や代役として活用できます。フエルミラーは鏡に映したものを増やすことができる道具で、物体を複製するという観点で共通します。ウルトラミキサーは逆に複数のものを一つに合体させる道具で、立体コピー紙と対照的な発想を持っています。立体コピー紙が紙という身近な素材をベースに持つ道具であることから、ひみつ道具の中でも特に親しみやすいデザインの道具のひとつです。のびたのコピーが意図せず街で活躍するというエピソードの温かいオチとともに、この道具は長く記憶に残ります。
立体コピー紙のエピソードで特に印象的なのは、のびたのコピーがのびた本人よりも活躍するという逆転の構図です。留守番をさぼって遊びに行った本物ののびたより、風に飛ばされたコピーの方が社会に貢献するという皮肉なオチは、ドラえもんの笑いの中でも特に秀逸な部類に入ります。コピーという存在が本体を超えてしまうという展開は、アイデンティティや存在の意味についての問いかけを、コミカルな形で提示しているとも読めます。
立体コピー紙は繰り返し使用可能という設定も重要です。使い切りではなく何度でも使えるということは、様々な場面で継続して活用できる道具であることを意味します。コピーしたいものが出てきたらすぐに紙に触れさせるだけという操作の手軽さと、再利用可能という経済性が組み合わさることで、立体コピー紙は非常に使い勝手の良い道具に仕上がっています。ドラえもんのひみつ道具の中でも、シンプルな操作と高い再現性を両立した優秀な道具のひとつです。
立体コピー紙のエピソードが持つ最大の面白さは、のびたがさぼるためにひみつ道具を使ったにもかかわらず、そのコピーが意図せず人助けをして帰宅する場面です。怠け者の行動が思わぬ善行につながるという逆転の構図は、ドラえもんのエピソードの中でも特にユーモラスで温かい結末の一つです。立体コピー紙という道具が生み出したのびたのコピーは、本体のびたよりも活躍してしまいました。その逆転劇が、この道具を忘れられない存在にしています。コミック13巻のこのエピソードを読み返すたびに、風に飛ばされたコピーのびたの活躍が鮮明によみがえります。立体コピー紙という道具は、のびたのさぼりという動機から始まったにもかかわらず、最終的に人助けという美しい結果を生み出しました。意図せず生まれた善行が認められてお咎め無しになるというオチは、ドラえもんらしい温かみのある結末です。この道具のエピソードを読むたびに、結果が動機を超えることがあるという、小さな希望のような感覚を覚えます。立体コピー紙というひみつ道具は、そういう予想外の善を生み出す道具として、ドラえもんの短編の温かさを代表する一本に欠かせない存在です。さぼりが善行になるというこの逆転の妙は、ドラえもんらしいユーモアと温かさが詰まっています。コミック13巻を手に取る機会があれば、ぜひこの道具のエピソードに注目してみてください。のびたのコピーが街を飛び回る場面の自由さと、最後の温かいオチが忘れられない一本です。





