周囲の雨雲を集め、天気を晴れにすることができる不思議なバケツ「雲とりバケツ」というひみつ道具を紹介します。
お天気ボックスのサブ要素
翌日に控えたハイキングの天気を、のびたは絶対に晴れると言い、スネ夫は雨だと言い張ります。天気予報ではたしかに雨なんですが、のびたにはドラえもんという強力な仲間がいますよね。ドラえもんはお天気ボックスを使って天気を晴れにしようと計画していたんです。ところがひょんなことから「晴れ」カードを紛失してしまい、どうしようもなくなっていた時にドラえもんが思い出したのが「雲とりバケツ」だったのです。
雲とりバケツの効果
雲とりバケツのフタを開けると、数十キロ範囲にある雨雲を取り込む効果があります。
開くだけで自動収集 ドラえもん10巻「お天気ボックス」P88:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
今回のストーリーでいうと、のびたの家からハイキング予定の山までということなので、かなり広範囲であることがわかります。お天気ボックスのように自由自在に天候を操るまでの効果はないものの、とりあえず雨をしのぎたいというシーンではとても役立つひみつ道具といえるでしょう。
こぼす危険
お話のオチとして、集めた雨雲をドラえもんがうっかり家の中で逃してしまい、家中水浸しということになりました。フタのロックはなかったのかな?というお粗末な結果ですが、ドラえもんらしい流れともいえるのかもしれませんね。
家具は使い物にならないだろう ドラえもん10巻「お天気ボックス」P89:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄
「はやくなんとかしなさい!」とママが怒っているようにも見えますが、どらえもんが雲とりバケツをもう一回使って家の中の雨雲を集めればいいんじゃないかと思うのは自分だけでしょうか?
雲とりバケツの効果的な使い方
これらのことから、集めた雨雲は任意のタイミングでバケツのフタを開くことにより、中身を放出し、再び雨を降らすことができるのがわかります。この機能を上手く応用すると、雨が欲しい人に対して適切なタイミングでバケツのフタを開けることにより、恩恵をもたらすことが可能になります。例えば農家の人なんかは喉から手が出るほど欲しい道具かもしれません。雨が多すぎて困る時には雲とりバケツで雨雲を集めておき、一斉に水が欲しいタイミングでバケツのフタを開ければいいんですから。ひょっとすると「雨雲売ります」なんてビジネスも発生するかもしれませんね。どれくらいの用量の雲を集めておけるか不明ですが、バケツを複数個用意して、「〇〇で採れた現地の雨雲シリーズ」という具合に付加価値を加えることもできそうです。
天気は自然任せが一番?
今回は応急措置として使われた雲とりバケツでしたが、基本的に天候は自然に任せるのが一番です。天候による影響はとても大きいので、利害関係がとても複雑になるからです。人によって事情がことなるので、一方では晴れを望んでも、片方では雨を望む人もいるわけです。そういう人がいることを考えると、自分の意志で天気を決めてしまうと様々な方面からプレッシャーを受け、ストレスがものすごいことになりそうです。
同じ天気系の道具では、ねがい星のように願いが叶う道具でも雨に関する願いが意図せず洪水になったりと、天候操作のリスクが描かれています。またカミナリ雲のような道具は特定の天候現象に特化しており、雲とりバケツとは逆に雨を引き起こす方向の道具です。台風の卵はさらに大規模な気象現象を扱うもので、これらを見ると天候操作の道具には常に制御の難しさがついて回ることがわかります。
さすと雨がふるかさのように傘の内側だけに雨を降らすという局所的なものから、雲とりバケツのように数十キロ範囲の雨雲を集めるものまで、天気に関するひみつ道具のスケールは様々です。雲とりバケツは雨を防ぐという目的においては非常に実用的な道具ですが、フタの管理さえしっかりできれば、農業支援や水資源管理に大きな可能性を持つひみつ道具でもあります。
バケツという形のわかりやすさ
雲とりバケツは、雨雲という巨大な自然現象を「バケツに入れる」という発想がとてもわかりやすい道具です。本来なら空に広がっている雲を、まるで水をすくうように集めてしまう。科学的にはめちゃくちゃですが、絵としては一瞬で理解できます。ドラえもんのひみつ道具らしい、子どもにも伝わる大胆な発想です。
お天気ボックスがカードで天気を指定する高度な装置だとすれば、雲とりバケツはもっと作業道具に近い存在です。雨雲があるなら取ればいい。雨が必要なら出せばいい。複雑な気象制御を、フタを開けるか閉めるかという単純な操作に置き換えているところが魅力です。
ただし、単純だからこそミスも起こります。集めた雲をどこに置くのか、どのタイミングで放出するのか、フタはしっかり閉まっているのか。そこを雑に扱うと、作中のように家の中が大変なことになります。便利な道具ほど保管と運搬が重要になるという、かなり現実的な教訓もあります。
雨雲を移動できる価値
雲とりバケツの本当の価値は、天気を消すことではなく、雨雲を移動できる点にあります。ある場所では雨が迷惑でも、別の場所では恵みの雨になります。遠足の日に邪魔な雨雲も、干ばつに悩む地域へ持っていけるなら大きな価値があります。
とはいえ、現実に運用するならかなり慎重なルールが必要です。ある地域の雨雲を勝手に取れば、その地域の水資源に影響します。逆に雨を降らせすぎれば洪水になるかもしれません。雲とりバケツは小さなバケツの形をしていますが、扱っているものは広範囲の気象です。見た目のかわいさに反して、社会的な影響はかなり大きい道具なのです。
作中ではハイキングを晴れにするための応急処置として登場しますが、見方を変えるとかなり実用性の高い災害対策道具です。豪雨の前に雨雲を一時的に回収できれば、浸水被害を減らせるかもしれません。逆に水不足の地域へ雨雲を運べば、農作物を助けることもできます。
ただ、バケツという手軽な見た目のせいで、つい雑に扱ってしまう危険があります。ドラえもんが家の中でこぼしてしまったように、持ち運びや保管を間違えれば大惨事です。フタのロック、容量表示、放出場所の確認など、未来の道具としては安全機能がもっと必要でしょう。
雲とりバケツは、雨を消す道具ではなく、雨の場所を変える道具です。天気を自分の都合だけで動かすことの難しさを、バケツ一つでわかりやすく見せてくれる道具だといえます。
また、雲を集めた後の中身がどうなっているのかも気になります。バケツの中に小さな雨雲が詰まっているのか、それとも雨のエネルギーだけが保存されているのか。見た目は普通のバケツなのに、数十キロ範囲の雨雲を入れられる時点で、四次元的な収納技術が使われていそうです。
フタを開けるだけで発動する単純さは便利ですが、逆に子どもが不用意に開けると危険です。雲とりバケツは、道具の名前はかわいくても、実際には気象を保管する容器なのです。
雨雲を取れば晴れる、こぼせば雨が降る。この単純なルールがあるからこそ、雲とりバケツは短い登場でもわかりやすく印象に残ります。天気をバケツで扱うという発想そのものが、非常にドラえもんらしいですね。
応急処置の道具としてはかなり優秀ですが、最後は使う人の注意力がものを言う道具でもあります。




