ホームズセット

ホームズセットは、シャーロック・ホームズのような推理力を発揮できる探偵道具セットです。道具を使いこなせば、どんな難事件も推理で解決する名探偵になれます。

珍しく本に夢中になるのび太

しずかちゃんの家にあったシャーロック・ホームズの本に夢中になったのび太。普段は活字本を手に取ると頭痛がして数ページ読むだけで意識不明になるはずののび太なんですが、この時はよほどシャーロック・ホームズが面白かったんでしょうね。

いつか彼のように名推理を繰り広げたいと夢見るのび太のもとに、とある重大事件の話が舞い込んできました。困っているのはしずかちゃんです。家中をひっくり返して探し物をしていました。

ダイヤを盗んだのは誰だ?

困っているのはしずかちゃんです。家中を探しまわっても見つかりません。ダイヤが盗まれたに違いない、そう確信したのび太は、ドラえもんからホームズセットを借り、犯人探しを始めます。

犯人は…のび太?

ホームズセットで推理すると、なぜか毎回のび太が犯人という結果が出ます。ダイヤなんか盗んでいない!そう言い張るのび太ですが、実はしずかちゃんが探していたものはダイヤではなく、シャーロック・ホームズの本ということが判明!

そう、のび太が無我夢中で読みふけっていた本はしずかちゃんが図書館から借りた本で、それが見当たらなくて困っていたんです。本が面白いあまり、しずかちゃんの家からドラえもんに魅力を熱弁するうちに本がどこかに行ってしまったのです。

最終的に本は見つかってめでたしめでたしなわけですが、ホームズセットの実力が証明された事件でもありました。

のび太のノリツッコミが見もの

コミックの中で、のび太がノリツッコミをする珍しいシーンが見られます。それがこちら。

ノリツッコミするのび太
ノリとツッコミ、すべてのタイミングがバツグン

ドラえもん3巻「シャーロック・ホームズセット」P44:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

推理ぼうがのび太に言葉を喋らせているように見えますが、のび太のテンポの良さと絶妙な反応がおもしろいコマですね。

ホームズセットの実力

最終的に本が見つかってめでたしめでたしなわけですが、ホームズセットの実力が証明された事件でもありました。ホームズセットは、

  1. 手がかりレンズ
  2. 推理ぼう
  3. レーダースティック
  4. ズバリパイプ

の4つのひみつ道具で構成されています。

手がかりレンズ

事件の手がかりになるものだけ見える虫眼鏡の形をしたレンズ。探偵活動において最初に使う道具で、現場に残された痕跡の中から犯罪に関係するものだけをふるい分けてくれます。うそ発見器のように証言の真偽を確かめる道具と組み合わせると、現場の物証と証言を同時に精査できます。

推理ぼう

頭にかぶり、ツバを上に向けると頭が冴え渡って推理できる帽子。シャーロック・ホームズのトレードマークであるハンチング帽を模したデザインで、かぶるだけで推理力が跳ね上がります。

レーダースティック

犯人がいる方向に倒れるスティック。動く標的を追うという意味ではトレーサーバッジと発想が近いですが、あちらがバッジを付けた人物の位置を継続的にモニタリングするのに対して、レーダースティックは特定の人物がいる方角を瞬時に示すという使い方をします。

ズバリパイプ

犯人の頭上で破裂するシャボン玉のような物体を出すパイプ。犯人を特定できたあとの確保に使う道具で、目に見えるかたちで犯人をマーキングできます。

どれも子どものおもちゃのように見えますが、今回の事件でその実力はしっかり証明されています。現代でも未解決の事件はたくさんあるので、ホームズセットを使えば事件解決は約束されたようなものですね。

シャーロック・ホームズという原典への敬意

ホームズセットというネーミングからもわかるように、この道具はコナン・ドイルが生み出したシャーロック・ホームズへの敬意が込められています。ハンチング帽型の推理ぼう、パイプを模したズバリパイプ、ステッキ型のレーダースティックと、道具のデザインひとつひとつがホームズのトレードマークに対応しています。

藤子先生がシャーロック・ホームズを好んでいたことはよく知られていて、こうした遊び心あふれる道具設計にもその愛着が現れています。ドラえもんをよく読んでいる人なら、ホームズセットを見た瞬間にその元ネタを理解できるようになっていて、ファン向けのサービスという側面も感じられます。のび太がホームズの本に夢中になっていたという設定も、物語の入口として機能していて、探偵物語への入門として子ども読者を自然に誘導する構成になっています。

他の探偵系道具と組み合わせると最強

ホームズセット単体でも強力ですが、他の探偵・調査系の道具と組み合わせるとさらに頼もしい布陣ができあがります。

正かくグラフで関係者の能力や動機を数値化し、手にとり望遠鏡で現場の証拠品を安全な場所から回収する。記憶とり出しレンズで目撃者の記憶を映像として取り出し、手がかりレンズで精査する。こうした道具の組み合わせは、まさに22世紀の探偵技術の粋を集めた捜査方法といえます。

また、ゆうどう足あとスタンプのような痕跡追跡の道具と組み合わせれば、犯人が逃走した経路を視覚的に追うことができます。ホームズセットの手がかりレンズが現場で見つけた足跡の情報を、ゆうどう足あとスタンプが立体的な追跡に変換するという流れは、探偵小説のような展開を実際に可能にします。

ホームズセットが示す推理という楽しみ方

ドラえもんのひみつ道具の多くは、体を動かさなくて良くなる系(タケコプターで空を飛ぶ、どこでもドアで移動する)か、問題を一発解決する系(アンキパンで勉強する)に分類できます。その中でホームズセットは少し異なる位置づけで、道具は補助ツールとして機能しますが、最終的な推理は使い手の頭脳に頼るという側面があります。

手がかりレンズで手がかりを見つけ、推理ぼうで考え、レーダースティックで犯人の方角を特定する。この一連の流れは、道具の力を借りながらも探偵活動そのものを楽しむという体験を提供しています。のび太でも名探偵になれるという夢のある道具でありながら、推理というプロセス自体の面白さを伝えることにも成功しています。

うそ発見器が相手の言動の真偽を技術的に判定するのとは対照的に、ホームズセットは状況証拠を積み上げて論理的に結論を導くという探偵的アプローチを採っています。どちらも真実を明らかにするという目的は同じながら、アプローチの違いが道具としての個性の違いになっています。

上手に使い分けよう

ホームズセットのズバリパイプ(犯人の頭上で破裂するシャボン玉のような物を出すひみつ道具)があれば、どんな事件も解決するのでは?と感じる人もいるでしょう。

ちゃんと犯人がいればズバリパイプだけで十分かもしれませんが、犯人がいないような事件、例えば逃げた犬はどこにいるの?なんかの場合はレーダースティックが活躍しそうです。

事件の種類に合わせて上手に道具を使い分けるのがコツですね。ドラえもんをよく読んでいる人なら気づくかもしれませんが、のび太が探偵ごっこをするエピソードではほぼ毎回痛い目に遭っています。ホームズセットは正しく使えば本物の名探偵並みの成果を出せるはずで、のび太の残念さが際立つのもそのためです。道具の性能と使い手の関係が生み出す笑いが、このエピソードの醍醐味といえます。

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