人探し機

目的の人を簡単に探し出してくれる人探し機は、迷子や行方不明者を見つけるのに使える探偵系道具です。正式な道具名が不明なため管理人が命名しており、コミック8巻のエピソードに登場します。

人探し機とは

小さな箱の上に矢印状のアンテナがのっかっている形状で、使う時はこの矢印が回転してナビゲーションのように探している人物の居場所を示してくれます。現代でいえばGPSナビゲーションに近い機能ですが、バッジや発信機を事前に取り付ける必要がなく、人物そのものを直接探知できる点が大きく異なります。

探したい人物をどうやって指定するのかは劇中で具体的な描写がないので不明です。声で話しかけるだけで設定が完了するという便利な仕様ではないかと思われますが、それ以上の詳細はわかりません。いずれにしても、道具を使い始めてから目的地まで矢印が案内してくれるというシンプルな操作性は、緊急時に使いやすいという点で大きな利点があります。

のび太をさがすドラえもん
のび太を一生懸命さがすドラえもん

ドラえもん8巻「ぼく、マリちゃんだよ」P170:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

道具の外見はシンプルな箱型で、目立つ矢印のアンテナが特徴です。ドラえもんがこれを手に持って進む場面は、何かに向かって一直線に進む犬の姿を連想させます。人探しの道具でありながら外見がいたってシンプルなのは、初期ドラえもんらしい道具デザインといえます。

本編での使われ方

巷で人気のスーパーアイドル・丸井マリちゃんを休ませてあげるために、ひみつ道具トッカエバーでマリちゃんと精神と身体を入れ替え、マリちゃんの身代わりになったのび太。

このひみつ道具が印象に残る理由

このひみつ道具の面白さは、ただ便利なだけではなく、使った瞬間に日常の見え方が少し変わるところにあります。ドラえもんの道具は、困りごとを一発で解決してくれるように見えて、実際には使う人の性格や判断がそのまま結果に出ます。のび太が使えば楽をしたい気持ちが前に出ますし、ドラえもんが使えば助けるための道具になります。同じ道具でも、誰がどんな目的で使うかによって印象が変わるのです。

また、名前や見た目が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手の届きそうな形の道具で実現してしまう。そこに読者が「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。物語の中での出番が短くても、発想がはっきりしている道具は記憶に残りやすいですね。

日常で使うなら注意したいこと

もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えたいのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きな騒動に広がることがよくあります。便利さに気を取られるほど、基本的な確認を忘れてしまうのです。

効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。そこまで含めて考えると、単なる便利グッズではなく、未来の技術との付き合い方を教えてくれる存在だといえるでしょう。

読者が想像を広げやすい道具

作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんなトラブルが起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。

ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。

最初はアイドルとしてちやほやされてはいたものの、怖いステージママのマリちゃんの母親によって組まれた殺人的なスケジュールにうんざりしていました。アイドルの仕事がいかに過酷かを身をもって体験することになったのび太ですが、帰れない状況に置かれていたのでどうにもなりません。

のび太の帰りが遅いことにカンカンになっているママの様子を見たドラミちゃんは、この人探し機でのび太の居場所を突き止めて駆け付けてくれました。探している相手の居場所を正確に特定して、矢印がその方向を示し続けるという使い方で、迷子探しや緊急連絡が必要な場面でこの上ない威力を発揮する場面です。

そんな時、ドラえもんがこの人探し機でのび太の居場所を突き止めて駆け付けてくれたのです。マリちゃんの母親に娘の忙しさをわかってもらおうと、トッカエバーで身体を入れ替えたマリちゃん(のび太)と母親。

改心したマリちゃんの母親
理解のある母親に大変身

ドラえもん8巻「ぼく、マリちゃんだよ」P172:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

それから1日を過ごし、あまりの過密スケジュールにぐったりしてしまった母親は反省し、マリちゃんに謝罪し、もう無理に仕事をさせないと約束してくれました。このエピソードで人探し機は物語のカギを握る道具として機能しており、ドラえもんやドラミちゃんがどれほど機転が利くかも同時に示されています。

のび太を見抜く優秀な道具

のび太は丸井マリちゃんと精神と身体が入れ替わった状態にあったにもかかわらず、人探し機は正確にのび太の居場所を突き止めることができました。外見はマリちゃんであり、身体もマリちゃんのものです。それでも人探し機がのび太をのび太として捉えられたということは、この道具が何を手掛かりに人を探知しているかが非常に興味深い問いを生み出します。

おそらく人探し機は探す人の外見や仕草ではなく、その人しか持ちえない本質的な部分をサーチして探していることが推察されます。それが魂なのか固有の生体情報なのかは不明ですが、いかなる変装や外見の変化にも左右されない能力があるということです。いくら変装しても整形しても人探し機から逃れることはできないということで、使われる側にとってはかなり手ごわい道具といえます。

この世で生きている限りかならず場所を特定されるという性質は、警察や捜索救助の場面では強力な武器になります。行方不明者の捜索に使えば、山岳遭難でも水難でも対象者が生存している限り正確な位置を把握できるわけです。現代の技術でもなかなか実現できていない能力で、この道具の価値の高さがうかがえます。

ドラえもんの世界のアイドル

ドラえもんには人気アイドルながらが複数出てきますが、今回の丸井マリちゃんその人ともいうべきキャラです。彼女は今回限りのゲストキャラですが、これ以降の出番がないのは、母親が仕事をセーブして無茶をさせなくなったと思えば納得できます。

この後もパーマンとのつながりが深い星野スミレや伊藤翼とアイドルキャラが複数登場します。どのアイドルも華やかさの裏にプライベートがままならない様子も描かれていて、決して楽しいことばかりではない事をしっかり描いています。しかし今回のマリちゃんの母親の改心のように、救いになる話も紹介しているあたり、藤子先生の優しさを感じます。

似た道具

人を探す道具はドラえもんに数多く登場します。コミック9巻に登場する強力においついせき鼻は犬のように強力な嗅覚を身につけて居場所を嗅ぎ当てる道具で、においを頼りに追跡するという原始的ながら強力な方法を取ります。人探し機が電子的な感知で場所を示すのに対し、においという物理的な手掛かりを使う点で性質が大きく異なります。

トレーサーバッジは色々な形をしたバッジとモニターがセットになっていて、人に付けたバッジが発信源となり、居場所がモニターに表示されるようになっています。事前に対象者にバッジを取り付ける必要があるため、突然の行方不明には対応しにくいという弱点がありますが、継続的な追跡という点では人探し機より優れているかもしれません。

人探し機はあらかじめ準備が不要で、いつでも瞬時に使い始められるというシンプルさが強みです。よかん虫で事前に危険を察知しておき、万が一の際には人探し機で居場所を特定するという組み合わせは、安全管理の面でかなり頼りになる構成といえます。

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