合体ノリ

合体ノリは、触れた相手の能力をそのまま自分のものにして合体できる道具です。見た目は普通のノリですが、使い方次第で驚くほど多彩な活用ができます。合体した相手の嗅覚を借りて追跡したり、力を借りて戦ったり、まさに生き物の能力を自分のものにできる一品です。

ドラえもん犬の誕生

のび太がうっかり友達のおもちゃをなくしてしまい、いつものようにドラえもんに助けを求めます。

そこに登場したのは、ヘビの体に頭だけドラえもんという不気味な生き物でした。

ドラえもんとヘビが合体
これは誰でもびっくりするだろう

ドラえもん13巻「合体ノリ」P57:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

なんとこれ、合体ノリを使ってドラえもんがヘビと合体した状態だったのです(なぜヘビを選んだかは不明です)。

ドラえもんはその後、合体ノリを使って今度は犬と合体し、嗅覚を手に入れておもちゃのにおいを追跡します。犬の鼻を借りることで、においの痕跡を辿りながら捜索できるという、なかなか合理的な使い方です。

結局スネ夫が犯人でおもちゃを持ち出していたことがわかりますが、なんとジャイアンに奪われてしまったというではありませんか。

力士と合体したのび太は無事にジャイアンからおもちゃを奪い返しますが、宿題をやるために合体したしずかちゃんはその場を逃げ出そうと暴れてしまうのでした。

合体ノリで合体するも、ごはんを食べたいと家に帰りたがるしずかちゃん
しずかちゃんの家で宿題をすればよかったものを。

ドラえもん13巻「合体ノリ」P61:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

能力を引き継ぐことができる

合体ノリの最大の特徴は、合体した相手の能力をそのまま引き継ぐことができる点です。

例えば犬と合体したドラえもんは犬の嗅覚を引き継ぎ、おもちゃのにおいの痕跡をたどることができました。コミックの中でも、ドラえもんが鼻をクンクンさせながら街を歩いてにおいを追う姿は、ネコ型ロボットらしからぬ光景で思わず笑ってしまいます。

犬の嗅覚を引き継いだドラえもん
ネコなのに犬の嗅覚を持つドラえもん

ドラえもん13巻「合体ノリ」P58:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

同時に、犬らしく電柱におしっこをしてしまうなど、不必要な能力まで継承するデメリットもあります。合体した相手の本能や習性まで引き受けてしまう点は、使う前にしっかり考えておく必要があります。

のび太としずかちゃんが合体した時は、しずかちゃんの頭の良さを引き継いだのはいいものの、ごはんを食べたいというしずかちゃんの欲求があったため、体は家に帰りたがる不思議な現象になりました。合体した相手の知性だけでなく、欲求や感情まで影響を受けるとしたら、合体相手の選択は非常に重要です。

鳥をつかまえることができれば空を飛べますし、魚と合体すれば水中での行動も可能になるかもしれません。他人の能力を自分のもののように使えるのは楽しいですが、その分だけリスクも伴うことを忘れてはいけません。

似たような発想の道具としては、コピーロボット立体コピー紙がありますが、それらと違って合体ノリは相手の生き物の能力ごと引き受けられるのが最大の特徴です。コピーロボットが自分の外見と記憶をコピーして代理として動く道具なのに対し、合体ノリは完全に一体化して相手の能力を自分のものにするという、よりダイナミックな体験が得られます。

自分の意思で分離可能

合体ノリでくっつくと、ノリを使った側の意思で分離することができます。

体を乗っ取られた側からすると非常に迷惑な話ですが、支配権はノリを使った側にあるようです。逆に言えば、合体を解除するタイミングも使用者が完全にコントロールできるということになります。

ドラえもんの道具にはフエルミラーのように自分のコピーを作れるものもありますが、合体ノリは複製ではなく文字通り「一体化」するという点でまったく異なる体験をもたらします。フエルミラーで作ったコピーは独立して動きますが、合体ノリは2つの存在が完全に一つになります。

また、かげきりばさみのように自分の影を分身として動かせる道具もありますが、合体ノリは相手の体ごと動かせる点でさらに強力な道具と言えます。影は実体がないため物理的な力は弱いですが、合体ノリで相手と一体化すれば相手の持つ筋力や体格もそのまま使えます。

さらに、うつしっぱなしミラーは対象の動きをずっと追いかけ続ける道具ですが、追跡という点では合体ノリで嗅覚に優れた動物と合体して追跡するほうが、より直接的で確実かもしれません。

合体している間のことを覚えていない?

体を乗っ取られた側は、合体している間のことを覚えていない可能性があります。

合体ノリで合体した人は記憶がなくなる
合体された側はたまったものじゃない

ドラえもん13巻「合体ノリ」P60:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

上のコマのように、のび太と合体していた力士は分離した後も「?」といっています。

今まで自分は何をやっていたのだ?といわんばかりの表情ですが、ノリで合体していた間の記憶がすっかり抜け落ちていることを意味しています。自分の体が勝手に動き、自分の知らない行動をしていたわけです。これはかなり恐ろしい体験ですね。

合体した相手によっては、気づけば自分が全く知らない場所にいる可能性もあり、体を奪われる側にはあまりメリットがなさそうですね。知らない間に危険な場所に連れて行かれたり、知らない行動をとらされたりするリスクを考えると、合体される側の立場は非常に不利です。

そのため、合体ノリを使う時は後々のトラブルを避けるため、事前に了承を得ておくことが大切です。相手の同意なしに使うのは、一種の体の乗っ取りであり、倫理的にも問題があります。

使いこなすには相手選びが重要

合体ノリを最大限に活用するには、合体する相手の選択が非常に重要です。どんな能力が欲しいのかを事前に考え、それに適した相手を選ぶことで、この道具の真価が発揮されます。

嗅覚が欲しければ犬、視力が欲しければ鷹、水中移動がしたければ魚という具合に、目的に合わせて相手を選ぶ必要があります。ただし先述の通り、相手の本能や欲求まで引き受けてしまうリスクがあるため、その点も踏まえた上で判断することが求められます。

また、合体した状態で見た目が奇妙になることも忘れてはいけません。ドラえもんがヘビの体に頭だけの状態で街を歩いたとしたら、周囲はパニックになること間違いなしです。人前で使う場合は、できるだけ目立たない形での合体を心がけた方がよいでしょう。

合体ノリが活きる場面を考える

ドラえもんのコミックでは主に追跡・戦闘の場面で使われた合体ノリですが、もっと日常的な活用法も考えられます。例えば、体が不自由な人が俊敏な動物と合体して移動の助けにするとか、危険な場所に潜入する際に小さな動物と合体して目立たずに情報収集するといった使い方です。

ただし、合体する相手に同意を得るのが基本ルールとなると、人間以外の動物とのコミュニケーションが課題になります。動物に合体の了承を得ることは現実的には難しいため、動物との合体には別の倫理的な問題が生じるかもしれません。

合体ノリの登場回は、ドラえもんがいかにのび太を助けたいかという気持ちと、道具の面白い使い方が凝縮された一話です。コミック13巻で読むことができますので、ぜひ確認してみてください。ドラえもんの道具の中でも特にユニークな発想の道具の一つで、生き物の能力を借りるという発想は、今の時代でも新鮮に感じられます。

合体を繰り返すとどうなるか

合体ノリで面白い疑問が生まれます。例えばAさんがBさんと合体ノリで合体した状態で、さらにCさんと合体したら何が起きるのでしょうか。3者合体が可能なのか、それとも2者までしか合体できないのかは不明ですが、もし3者合体が可能であれば、複数の生き物の能力を同時に持つことができるかもしれません。

例えば犬の嗅覚と鷹の視力と魚の水中能力を同時に持つことができたら、探偵や捜索救助の分野で絶大な力を発揮します。ただし同時に3体分の欲求や本能も引き受けることになるため、それぞれが相反する行動を取ろうとして身体の制御が困難になるかもしれません。

合体ノリはコミック13巻という比較的早い段階に登場した道具で、その設定の深さに比べて登場が少ないのが惜しまれます。もし大長編で活躍したら、仲間との合体で能力を強化しながら敵に立ち向かうという展開が描けそうです。

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