オールマイティーパス

どこでも入れる!何でも乗れる!しかも全部無料で!という夢のようなひみつ道具がオールマイティーパスです。これさえあれば怖いものなしともいえる優秀な効果がありますが、使い方次第では非常に危険です。

首相官邸の中や銀行の金庫にすら入ることができるオールマイティーパス。そんなそこらの人が気軽に入手できるひみつ道具ではないことは確かです。

期限切れにご注意

首相官邸の中や銀行の金庫にすら入ることができるオールマイティーパスをドラえもんから借りたのびたは、しずかちゃんを誘って色々な場所に入ろうとします。

  • 喫茶店
  • パチンコ店
  • 映画館
  • 芸能人星野スミレの家
オールマイティパスで喫茶店に入るのびたとしずかちゃん
年齢制限も関係なし

ドラえもん15巻「オールマイティーパス」P64:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

もちろんパスがあるので、何事もなかったかのようにすんなり入れてしまうのびたとしずかちゃん。しかしこのオールマイティーパス、有効期限があることをのびたはすっかり忘れていたのです。のびたがこういう重要な情報を見落とすのは毎度のことですが、今回の場合は特に場所とタイミングが悪かったといえます。

オールマイティパスの有効期限が切れた事に気付かなかったのびた
有効期限が切れると全て無効になる

ドラえもん15巻「オールマイティーパス」P69:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

期限の時間が来た途端、星野スミレが我に返って家を追い出されるし、帰りのタクシーに乗ることもできません。結局のびたとしずかちゃんは車で30分かかる道のりを歩いて帰宅するハメになってしまったのでした。憧れの芸能人の家に入れるという夢の体験が、徒歩30分の帰り道という現実で締まるオチは、のびたエピソードの典型的な構造です。

セキュリティも意味なし

どれだけ厳重な警備でも、オールマイティーパスを見せさえすれば問題ありません。超重要な機密事項が隠されている場所ですら入れるため、仮にオールマイティーパスが悪人の手に渡ってしまうような事があると、非常に危険です。セキュリティの仕組みそのものを無効化するという機能は、ドラえもんのひみつ道具の中でも特に強力な部類に入ります。現実の社会に置き換えると、そのインパクトがいかに大きいかがよくわかります。

複数人でも使えます

パスが1枚あれば、同行している人も一緒に恩恵を受けます。何人でも一緒に使えるため、スポーツ観戦や遊園地などの大人数で参加するイベントでも威力を発揮しますね。のびたがしずかちゃんと一緒に色々な場所を回れたのも、この複数人対応のおかげです。友人や家族と一緒に非日常体験を共有できるという点は、道具の楽しみ方としても理想的です。

入手経路が不明

これだけ恐ろしい効果のある道具を手に入れるためには、ドラえもんはおそらく相当の金額を使っているのではと思われます。やろうと思えば国家機密にすらアクセス可能なオールマイティーパス。そんじょそこらの人が気軽に入手できるひみつ道具ではないことは確かです。

どこにでも入ることができるオールマイティパス
なんでもありのオールマイティーパス

ドラえもん15巻「オールマイティーパス」P61:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

どれだけ科学が発達しても、犯罪を促進させるものが簡単に人の手に渡るはずもなく、ドラえもんがオールマイティーパスを入手した経緯が気になるところです。ドラえもんがこの道具を持っているという事実は、22世紀でもこういった強力な道具が存在し、管理されていることを示しています。

もしも現実にあったら?

もしオールマイティーパスが現実に存在するならば、まずその存在自体が公になることはないと考えられます。どれだけ厳重に保管していたとしても、あらゆる手段でオールマイティーパスを手に入れようとする犯罪組織も出てくるでしょう。

不自然な場所に身分不相応な人がいれば、オールマイティーパスの存在を疑った方がいいかもしれませんね。とりよせバッグが物理的に物を引き寄せる道具であるのに対して、オールマイティーパスは社会的な障壁を全て取り除くという別次元のアプローチです。はこび矢しゅん間リターンメダルのような移動系道具とも相性がよく、移動した先にある施設へも無条件で入れる組み合わせは最強といえます。

オールマイティーパスというひみつ道具は、社会のルールや障壁を全て無効化するという設定の大胆さが際立っています。どんな扉も開けられるという道具の万能さと、有効期限という小さな制約が対比されることで、のびたのうっかりミスが際立つエピソードの構造が巧みです。夢のような道具が最後は徒歩帰宅というオチに帰着するのは、ひみつ道具の恩恵が永遠には続かないというドラえもんの教訓を体現しています。

オールマイティーパスが示す世界観は、22世紀においてすら権限や許可という概念が存在することを前提にしています。どんな場所にも入れる道具が必要だということは、逆に言えばそれだけ閉ざされた場所が多い社会が続いているということでもあります。科学が進歩しても、人間の作る制度や障壁はなくなっていない。そういう社会の普遍的な側面を、オールマイティーパスという道具はさりげなく示しています。

のびたとしずかちゃんがオールマイティーパスで入った場所のリストを見ると、喫茶店やパチンコ店や映画館という子どもには縁遠い場所が並んでいます。大人の世界を体験してみたいというのびたの好奇心が、道具の選択に反映されているのが面白いところです。芸能人の家という最後の目的地は、のびたがしずかちゃんを連れて行こうとした場所として、のびたのミーハーな側面と気前の良さが同時に伝わってきます。このエピソードはのびたのキャラクターの魅力を存分に引き出した一本です。

どんな扉も開けられるという道具の万能さと、有効期限という小さな制約が対比されることで、のびたのうっかりミスが際立つエピソードの構造が巧みです。夢のような道具が最後は徒歩帰宅というオチに帰着するのは、ひみつ道具の恩恵が永遠には続かないというドラえもんの教訓を体現しています。

オールマイティーパスというひみつ道具の名前は、オールマイティという言葉が示す通り、全てにおいて通用するという意味を持っています。その名前通りの万能さを持ちながら、有効期限という一点だけで無効になるという設定の対比が面白いです。どんな扉も開けられるのに、時間という壁だけは越えられない。そういう逆説的な制約が、のびたのうっかりを際立たせる完璧な舞台装置になっています。コミック15巻のこのエピソードは、オールマイティーパスという道具の性格とのびたの性格が絶妙に組み合わさった一本として、読んだ後もしばらく思い出し笑いができる作品です。芸能人の家から追い出されて夜道を歩いて帰るのびたとしずかちゃんの姿は、夢の終わりの切なさと笑いを同時に持っています。道具の恩恵を享受した分だけ、その終わりのギャップが大きくなるというのが、オールマイティーパスというひみつ道具の持つ教訓です。そのギャップを笑いに変えながら、ひみつ道具の使い方と向き合い方を問うこのエピソードは、ドラえもんの短編の中でも完成度の高い一本です。有効期限という設定がなければ成立しなかったオチの鮮やかさは、道具の設計と物語の巧みさが融合した傑作といえます。どんな場所にも入れる夢の道具も、時間という壁だけは越えられない。そのシンプルな制約がこのエピソードを成立させています。コミック15巻を読む機会があれば、このエピソードで時間の管理の大切さを笑いとともに学べます。

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