とうめいマント

マントにおおわれた部分が完全に透明になるひみつ道具、とうめいマントです。辺りから姿がまったく見えなくなるため、誰にも気づかれることなく行動できるのが最大の特徴です。

先祖を助けるために大活躍

自分の先祖が大した人物ではないことを知ったのびたは、先祖に手柄を立ててもらい、友達に自慢したいと考えました。過去の歴史を変えてしまおうという取り組みなんですが、そのタブーには一切解説なしにストーリーが進みます。

のびたの先祖はのび作といい、山奥で猟人(かりうど)として生計を立てていました。見た目はのびたそっくりののんびりした様子で描かれ、いかにも野比家の先祖という感じがプンプンします。目が悪く、おっとりした性格はのびたに瓜二つです。

この先祖に戦(いくさ)で活躍してもらい、手柄を立ててもらおうと画策するドラえもんとのびた。その時に使ったひみつ道具がとうめいマント、タケコプター、スーパーてぶくろの3つでした。

このひみつ道具が印象に残る理由

このひみつ道具の面白さは、ただ便利なだけではなく、使った瞬間に日常の見え方が少し変わるところにあります。ドラえもんの道具は、困りごとを一発で解決してくれるように見えて、実際には使う人の性格や判断がそのまま結果に出ます。のび太が使えば楽をしたい気持ちが前に出ますし、ドラえもんが使えば助けるための道具になります。同じ道具でも、誰がどんな目的で使うかによって印象が変わるのです。

また、名前や見た目が身近であるほど、効果とのギャップが強くなります。普通ならありえないことが、手の届きそうな形の道具で実現してしまう。そこに読者が「自分ならどう使うだろう」と想像したくなる余白があります。物語の中での出番が短くても、発想がはっきりしている道具は記憶に残りやすいですね。

日常で使うなら注意したいこと

もし現実にこの道具を使えるなら、まず考えたいのは周囲への影響です。自分にとって便利でも、家族や友達、近くにいる人に迷惑がかかるなら正しい使い方とはいえません。ドラえもんのエピソードでは、最初は小さな願いから始まった使い方が、だんだん大きな騒動に広がることがよくあります。便利さに気を取られるほど、基本的な確認を忘れてしまうのです。

効果の範囲、持続時間、元に戻す方法、失敗した時の対処。これらを分からないまま使うと、どんなに魅力的な道具でも危険になります。ひみつ道具は夢をかなえるアイテムである一方、使う人に責任を求めるアイテムでもあります。そこまで含めて考えると、単なる便利グッズではなく、未来の技術との付き合い方を教えてくれる存在だといえるでしょう。

読者が想像を広げやすい道具

作中で描かれた使い方は、この道具の可能性の一部にすぎません。学校で使ったらどうなるか、家で使ったらどうなるか、旅行や災害時に役立つのか、逆にどんなトラブルが起きるのか。そう考えていくと、短い登場シーンだけでは見えなかった魅力が広がります。

ドラえもんのひみつ道具紹介の楽しさは、性能を確認するだけでなく、その先の使い道を読者自身が想像できるところにあります。この道具も、便利さ、危うさ、ユーモアが同時に詰まっているからこそ、もっと深く考えたくなる一品です。

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体が消えるわけじゃない

とうめいマントで身を隠しても、姿が透明になるだけで、体そのものが消えてしまうわけではありません。コミックの中では紹介されていませんでしたが、もし誰かの手が触れたりすると、そこに体があることが一発でわかってしまいます。

サーモグラフィを使えば体温もバレますし、犬がいたら嗅覚で気づかれてしまうことでしょう。とうめいマントは決して万能なひみつ道具ではありませんが、姿を消すだけでも大きなインパクトがあるので、使い所が重要になります。

どうしてマントは飛んでいかないのか

マントという名前がついていますが、実際は布きれのような見た目をしているとうめいマント。顔を通す穴が空いているように見えず、どこかに引っかけるための紐や穴も見当たりません。

つまり、とうめいマントの使い方は頭から1枚の布をスッポリかぶるしかないと思われます。マントがヒラヒラすることで足元や体の一部が見えかくれし、せっかく姿を消しているのに居場所が簡単にバレちゃいますよね。

コミックでは姿を消したのびたがタケコプターを使って空を飛ぶシーンが描かれています。それでもマントは飛んでいかないので、おそらくマントの内側に特殊な仕組みがあり、それがマントと体をくっつける働きをしているんじゃないかと思われます。

突然の来客に便利かも

とうめいマントがあれば、突然の来客時に活躍するかもしれません。部屋の中が散らかって気恥ずかしい場合、とうめいマントで覆って隠してしまえばいいんです。実際に物がなくなるわけじゃなく、姿が見えなくなるだけなので、部屋をきれいに見せるにはおすすめの使い方です。

とうめいマントの仲間として、かくれマントとうめいペンキも存在します。かくれマントは機械のレーダーすら回避できる高性能ですが、とうめいマントとは各々利点が異なります。とうめいペンキは水性なので雨に弱いのが弱点です。

ドラえもんにはほかにも「隠れる」道具がいっぱい

ドラえもんのひみつ道具の中で、姿を隠したり目立たなくしたりする道具は、じつはかなり種類が豊富です。とうめいマントのように全身を覆うタイプもあれば、帽子をかぶるだけで周りに気づかれなくなる石ころぼうしのように、もっとさりげない形のものもあります。石ころぼうしは完全に透明にはなりませんが、周囲の人がその存在を意識しなくなるという不思議な効果があり、使い勝手という点ではとうめいマントに劣らない実力を持っています。

また、カメレオンぼうしは周囲の景色に溶け込む保護色タイプの隠れ道具で、「光ごとなくなる」とうめいマントとは仕組みがまったく異なります。動いたときに景色と色がズレてしまうリスクはあるものの、一か所に静止している状況ではほぼ完璧に気配を消せます。動物が外敵から身を守るための擬態を道具として再現したアイデアは、藤子・F・不二雄先生らしい発想と言えます。

さらに変わりダネとしてドロン巻き物という道具も存在します。巻き物を広げることで姿が消えるという、忍者の術を連想させるひみつ道具で、とうめいマントとは見た目も使い方もまったく違います。ドラえもんの世界における「隠れる」道具の多様さは、同じ目的を持ちながらもアプローチがまるで異なる点が面白く、それぞれに個性があります。

透明になりたい気持ちはのびただけじゃない

誰でも一度は「透明になれたらいいのに」と思ったことがあるはずです。テストで悪い点を取った日、先生に当てられたくない授業中、失敗して恥ずかしい思いをしたとき。のびたがとうめいマントを借りたがるのは、そうした子どもの正直な気持ちをそのまま描いているからこそ、読んでいてリアルに共感できます。

ドラえもんのコミックでは、のびたがとうめいマントを使ってちょっとした悪さや「ずる」をしようとする場面が描かれることもあります。透明になった状態でお菓子をつまみ食いしたり、こっそり誰かの様子を確認しようとしたり。もちろんドラえもんに怒られたり、思わぬ失敗でバレてしまったりするオチがつくのがお約束です。

ひみつ道具を使うのびたのちょっとズルい行動は、読者が「自分もそうしちゃうかも」と感じられるリアリティがあります。へんそうセット石ころぼうしなど、姿を変えたり存在感を消したりする道具がのびたに大人気なのは、「目立ちたくない」「失敗を隠したい」という気持ちが根っこにあるからでしょう。

実現に向けた開発が進んでいる

現代の世界でも、姿を透明にするための技術が開発されつつあります。物が見えるのは、物体に光が反射し、それが目に入ってきているわけです。開発中の技術は、光の屈折率を変えることで物を透明にしてしまおうというもの。素材の表面に特殊なコーティングを施し、光を曲げて背景の景色をそのまま映し出す「光学迷彩」の研究は、大学や企業レベルで実際に進められています。さすがにとうめいマントのように持ち運びができてコンパクトに使えるまでには至っていませんが、軍事・医療・エンターテインメントなど様々な分野での応用が期待されており、今後の技術の発展が楽しみです。

実現すると世の中が混乱するかもしれない

姿が見えなくなる技術が開発されるのはいいことなんですが、悪事に使う人がいてもおかしくありません。

  • こっそり人の家に上がり込む
  • バスや電車に無賃乗車する
  • お風呂をのぞく
  • ライバル会社に潜入して情報を盗む

姿が透明になる技術が開発されるのはいいことなんですが、悪事対策も同時に考えられるべきです。例えばサーモグラフィの導入は効果的と考えられますし、重さを感知するセンサーも良さそうです。赤外線で人の動きを検知するのも効果があるでしょう。

ドラえもんの世界でも、のびたがとうめいマントを悪用しようとした話は何度か描かれています。ひみつ道具が便利であればあるほど、使い方次第で問題を起こしてしまうのがのびたのパターンです。とうめいマントに限らず、強力なひみつ道具には相応のリスクが伴うというのは、藤子・F・不二雄先生が作品を通して何度も描いてきたテーマでもあります。

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