見えなくなる目ぐすり

透明人間になりたいというのびたの希望を叶えるべく、ドラえもんが出した道具が『見えなくなる目ぐすり』でした。

しかし実はこれ、ドラえもんの大きな勘違いによって全く異なる効果がある道具だったのです。

のびたが見えなくなる目ぐすり

ジャイアンに貸した本をいますぐでも取り返したいのびたは、こっそりジャイアンの部屋に忍び込むための道具として透明人間になれる薬をドラえもんに要求します。

年末の忙しさでバタバタしていたドラえもんが出した『見えなくなる目ぐすり』。

ネーミングだけ見るといかにもそれっぽい道具ですが、実は目ぐすりを使った本人の視界に他人が入らなくなる効果だったのです。

要するに、のびたからは他人が見えず、でも他人からはのびたが見えるという具合ですね。

のびたにとってはまるで世界からこつ然と人が消えてしまったかのように見えますが、それはのびたの大きな勘違いだったというわけなのです。

見えなくなる目ぐすりの効果
ものすごい表情である

ドラえもん10巻「見えなくなる目ぐすり」P42:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

すっかり透明人間になったと勘違いしているのびたは、さっそくジャイアンの家から本を取り返すべく、家を出るのでした。

のびたが善人でよかった

もしあなたが透明人間になることができたら、いったい何をしますか?

普通の人だったら良からぬことを考えそうなものです。

こっそり誰かのプライベートの場に忍び込んだり、透明なのをいいことにイタズラしたり、概して人間とはそういうものです。

のびたが透明人間になった目的は、あくまでもジャイアンから本を取り返すことでした。

物語の中でのびたはジャイアン宅に向かって目的を達成するのですが、その途中でしずちゃんのお風呂をのぞいたり、友達にイタズラしたりなどは一切しませんでした。

見えなくなる目ぐすりを悪用しないのびた
ジャイアンの家をなんだと思っているのか

ドラえもん10巻「見えなくなる目ぐすり」P44:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

善人ののびただからこそ目的以外のことには一切目もくれず、ただひたすらに目的を達成する一途さは、ちょっと心配にもなりますね。

さすがに小学生向けの雑誌に掲載するのにふさわしくない内容のことはやらないでしょうしね。

見えなくなる目ぐすりの使いみち

あまり使いみちがないようにも思えるこの道具ですが、集中して勉強や作業したい時には役立ちそうです。

混雑した図書館でこの目ぐすりを使えば、周りがガラーンとして広々した空間でゆっくり勉強や読書に集中できますね。

ただし、自分から見えなくなるだけで、あくまでも他人はそこに存在していますので、歩いている途中でぶつかったりしないよう注意が必要です。

見えなくなる目ぐすりで周囲が見えないのびた
これはさすがに誰でも驚く

ドラえもん10巻「見えなくなる目ぐすり」P41:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

のびたの素直さも心配になる

のびたは結局最後の最後まで目ぐすりの秘密に気付くことはありませんでした。

人が急にいなくなったのは目ぐすりのせいではなく、単純に人が出かけてしまっただけだと思い込みののびたの素直さは、ちょっと心配にもなりますね。

いつもと状況が違えば「おかしいな?」と少し考えそうなものですが、そこは安定ののびた、そういうものだと思いこんでしまうわけです。

素直なのびたの良い点と悪い点と取れる今回の件。

いや、だからこそ多くの人にその純粋さを好かれ、みんなのアイドルしずちゃんを射止めるだけの魅力につながっているのかもしれませんね。

のびたから学ぶことがたくさんありそうです。

見えなくなる手軽さ

見えなくなる目ぐすりは、透明・隠れる系の中でもかなり手軽な道具です。マントをかぶったり帽子を身につけたりする必要がなく、目ぐすりを使うだけで姿を消せるなら、持ち運びやすさは抜群です。小さな容器に入っているため、いざという時にすぐ使えるのも強みでしょう。

しかし、手軽さは危険さにもつながります。思いつきで使えてしまうからこそ、いたずらやのぞき見に流れやすいのです。透明になる道具は、目的が正しくなければすぐ迷惑な道具になります。

透明になっても存在は消えない

姿が見えなくなっても、体がそこにあることは変わりません。足音、声、におい、触れた物の動きなどから存在がばれる可能性があります。透明になったからといって、完全に自由に動けるわけではないのです。

また、周囲から見えないということは、相手が避けてくれないということでもあります。人混みや道路ではぶつかったり踏まれたりする危険があります。透明化は安全を保証するものではなく、むしろ気をつけることが増える効果でもあります。

隠れる道具との使い分け

とうめい人間目ぐすりかくれマントカメレオンぼうしなど、姿を隠す道具にはいろいろな種類があります。見えなくなる目ぐすりは、装備がいらないぶん身軽ですが、効果の範囲や持続時間を把握しておく必要があります。

逃げるため、身を守るため、こっそり様子を見るため。目的によって最適な道具は変わります。見えなくなる目ぐすりは、短時間の隠密行動に向いた道具と考えると使いやすそうです。

見えなくなる目ぐすりを使う前に考えたいこと

見えなくなる目ぐすりは、効果だけを見るととても便利に思えます。しかしドラえもんのひみつ道具は、便利さがそのまま騒動の原因になることも少なくありません。使う人が目的をはっきりさせず、目先の得や面白さだけで使うと、最初の期待とは違う方向へ話が転がっていきます。

大切なのは、道具が何をしてくれるのかだけでなく、何をしてくれないのかを理解することです。見えなくなる目ぐすりにも得意な場面と苦手な場面があります。万能だと思い込まず、効果の範囲、持続時間、周囲への影響を考えて使えば、失敗はかなり減らせるでしょう。

日常にある悩みを大きく映す

見えなくなる目ぐすりが面白いのは、現実にもある小さな悩みを大げさな形で見せてくれるところです。楽をしたい、失敗を取り返したい、誰かに勝ちたい、危険を避けたい。そうした気持ちは誰にでもあります。ひみつ道具はその願いを一瞬でかなえますが、同時に願いの危うさも見せてくれます。

のび太が道具を使って失敗する場面は笑えますが、読者自身にも思い当たる部分があります。もし自分が見えなくなる目ぐすりを持っていたら、本当に正しく使えるのか。そう考えさせるところに、ドラえもんのひみつ道具紹介としての面白さがあります。

読者が想像したくなる余白

作中で描かれる使い方は、道具の可能性の一部にすぎません。見えなくなる目ぐすりも、別の場面で使えばまったく違う活躍をするはずです。学校、家庭、旅行、災害時、仕事の現場など、置かれる場所が変わるだけで新しい使い道が見えてきます。

一方で、使い道が広いほどルール作りも必要になります。誰が使ってよいのか、どこまで使ってよいのか、失敗した時にどう戻すのか。こうした点まで想像すると、ひみつ道具は単なる便利アイテムではなく、未来の社会を考えるきっかけにもなります。

安全に使うための約束

見えなくなる目ぐすりを使うなら、まず誰か一人には使用を知らせておくべきです。完全に姿が見えなくなると、事故が起きた時に助けてもらいにくくなります。透明になれることより、透明になった後にどう戻るか、どう合図するかのほうが重要です。

また、持ち物や足跡、物音で存在がばれる可能性もあります。透明になる道具は万能な逃げ道ではなく、短時間だけ視線を避けるための補助道具として考えるのが安全でしょう。

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