かべ紙ハウス

紙に描かれた家やお店が本物のように使えてしまうひみつ道具が「かべ紙ハウス」です。壁などに貼り付けることで、紙に書かれた扉から出入りする別の空間が作り上げられます。

昔懐かしい子供の頃のごっこ遊びで、大きな紙に家やらお店やら描いてそれっぽく見える背景を作ったものです。もしもその紙に書いた家やらお店やらが本当に使う事が出来たら……そんなかべ紙ハウスを紹介します。

かべ紙ハウスとは

紙に描かれた家やお店が本物のように使えてしまうひみつ道具です。壁などに貼り付けることで、紙に書かれた扉から出入りする別の空間が作り上げられます。ドアを開ければそこは広い空間で、大人数が入ることが出来るようになっています。

用途に合わせて飲食店やトイレなどのバリエーションも数多くあります。

本編での使われ方

友達との新年会をのびたの家で開催しようとしますが、ママが許してくれません。すでにみんなは家の前に来ていて、今さら追い返すことも出来ず困るのびた。そこでドラえもんがこっそり友達をのびたの部屋まで案内し、ポケットから取り出した「かべ紙ハウス」を使って新年会の会場を作ったのです。

かべ紙ハウスで空間を作るドラえもん
ドラえもんが誘う異次元の世界

ドラえもん9巻「かべ紙の中で新年会」P28:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

壁に貼り付けてドアを開けると、そこは広い空間が広がっています。どれだけ騒いでも外には聞こえないので、楽しい新年会を開催することができたのでした。

いろいろな種類があるかべ紙ハウス

かべ紙ハウスには色々な種類のお店が用意されています。コミックに登場したものを紹介しましょう。

  • 広い空間(新年会の会場として使われた)
  • 喫茶店
  • レストラン
  • おもちゃ屋
  • トイレ

もちろんこれらのかべ紙ハウスの中には、ちゃんと料理やおもちゃ、ジュースなどが用意されているので、誰でも自由に使えます。元から用意されている食事やお菓子が無くなってしまったあとをどうするかは不明です。

ドラえもんの世界には、好きな食べ物を無限に取り出すことができる「グルメテーブルかけ」があるくらいなので、かべ紙ハウスのレストランなどでも同じ原理が利用されているのでしょう。

狭い日本では理想的な道具

かべ紙ハウスがあれば、日本の不動産業界はその形態を一気に変え、日本の土地問題も大きく解決に向かうかもしれません。かべ紙を貼るだけでそこに亜空間が出来上がるわけなので、物件の広さなどは関係なく、地価の高い東京の家賃問題も解消に向かう可能性があります。

一方もちろん問題もあり、かべ紙ハウスが何らかの拍子に壁から剥がれてしまった場合、中の空間もめちゃくちゃになってしまいます。

トイレが倒れるスネ夫
想像したくない絶望的な一コマ

ドラえもん9巻「かべ紙の中で新年会」P32:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

かべ紙ハウスだけに頼り切るのは危険ですが、上手に活用したい道具ですね。壁から剥がれるリスクへの対策として、画鋲や強力な両面テープで補強するといった運用の工夫があれば、かなり安心して使えるようになるでしょう。未来の技術ではそのあたりの安全対策も織り込み済みだと思いますが、コミックの中でスネ夫がトイレもろとも倒れてしまうシーンは、そのリスクを読者にわかりやすく示した場面として強く印象に残っています。

新年会という使い方の巧みさ

かべ紙ハウスが初めて登場するエピソードは新年会というシチュエーションです。ママに許可をもらえなかったのびたが、こっそりドラえもんに頼んで会場を用意するという展開は、子どもなら誰でも経験したことがある「親の許可なしにやりたいことをやる」という状況をテーマにしています。大事なのは、かべ紙ハウスを使うことで誰も傷つけず、むしろみんなが楽しめたという点です。

再登場も多いかべ紙ハウス

便利さゆえ、この後の話でも再登場する機会が多いかべ紙ハウス。のびたがうっかり作ってしまったジャイアンとスネ夫のクローン人間をかくまうために使われた「かべ紙洋服店」や「かべ紙小学校」などがありました。「のら犬イチの国」では「かべ紙犬小屋」が登場し、捨て犬や捨て猫をママに隠れて飼うために使われました。大長編では、宇宙人・パピをかくまうために使われているほか、劇場版のアニメオリジナル展開で使われる機会も複数回ありました。

ナイヘヤドアが既存の建物の壁に空間を付け足す道具であるのに対して、かべ紙ハウスは紙という手軽な媒体を使って空間を作る点で異なります。また空間ひんまげテープのように空間を操作する系統の道具ですが、かべ紙ハウスは人が快適に過ごすための居住・商業空間を提供するという点に特化しています。デンデンハウスが持ち運べる個人用シェルターであるのとは異なり、かべ紙ハウスは複数人が利用できる社交的な空間という性格を持っています。

子どもの「ごっこ遊び」をそのまま実現した道具

かべ紙ハウスの原点は、子どもが大きな紙にお家やお店を描いてごっこ遊びをするという遊び方にあります。藤子・F・不二雄先生自身もそういった遊びをしていたのではないかと想像させるくらい、子どもの発想をそのままひみつ道具に昇華した道具です。「絵に描いたお店が本当に使えたら」という子どもらしい純粋な夢が形になったかべ紙ハウスは、ドラえもんのひみつ道具の中でも特に「願いの実現」という本質に忠実な一品です。

紙という日常的な素材が出発点であるため、将来的にはかべ紙ハウスをユーザーが自分でデザインして作れる可能性もあります。好きなお店のレイアウトや内装を紙に描いて貼れば、オーダーメイドのプライベート空間が出来上がるというのは、インテリアに凝る人や起業を夢見る人にとって理想的な道具です。

隠れ家として活用されるシーンが多い

かべ紙ハウスが再登場するエピソードを見ると、正式な許可が取れない状況でこっそりスペースを作るために使われることが多いのが特徴です。ジャイアンとスネ夫のクローン人間をかくまうために使った「かべ紙洋服店」や「かべ紙小学校」、捨て犬・捨て猫をママに内緒で飼うための「かべ紙犬小屋」など、公には許可されない事情があるときにかべ紙ハウスが選ばれています。

これは「壁に貼るだけで作れるため痕跡が残りにくい」という特性を活かした使い方です。剥がせばなくなるため、証拠を残したくない場面に適しています。四次元カバンのように大容量の収納を実現する道具が別に存在しますが、かべ紙ハウスはそこに生活空間そのものを収納してしまうという、さらに一歩進んだ発想の道具と言えます。

内側の空間はどこから供給されるのか

かべ紙ハウスの不思議な点の一つは、紙という平面から三次元の広い空間が生まれるという仕組みです。四次元ポケットと同様の圧縮空間技術が使われていると思われますが、食事やおもちゃなどのコンテンツも最初から用意されているという点が独特です。これらの物資はどこから来るのか、どのように補充されるのかは謎のままですが、だからこそ夢のある道具と感じられます。かべ紙ハウスは貼る・剥がすという操作だけで空間を生成・消滅させられる手軽さが最大の利点であり、何も特別な設置工事も準備も必要としないという点でドラえもんのひみつ道具の中でも特に即戦力として機能する一品です。のびたが「ここにこんなお店があったらいいな」と思った瞬間に実現できる夢の道具として、長く愛されている理由がよくわかります。

おすすめの記事