フワフワオビ

体に巻きつけるとふわふわと空に浮かぶことができるひみつ道具、フワフワオビ。タケコプターほどの速度は出ませんが、漂うように空中を移動するあの感覚は、ほかの道具にはない独特の魅力があります。

フワフワした布状のひみつ道具

フワフワオビは布のような形をしていて、空を飛ぶためには体に上手に巻きつける必要があります。タケコプターは体の一部に取り付けるだけで飛行可能なので、装着のしやすさという点では差があります。ただ、タケコプターが時速80km/hの高速移動が可能なのに対して、フワフワオビはゆっくりと浮かぶ道具なので、スピードよりも感覚を楽しむ道具と考えるのが自然です。

コミック2巻「しずちゃんのはごろも」で登場します。しずかちゃんが天女を演じる劇の小道具として、ドラえもんが貸してくれたのがこの道具でした。しずかちゃんが天へとふわりと浮かんでいく幻想的なシーンは、フワフワオビの特性をまさに活かした演出でした。コミックで読んでいると、その場面の静けさとふんわりした動きが絵からも伝わってきて、なんとも絵本的な美しさがあるんですよね。

フワフワオビが布状であることも、見た目の柔らかさと漂うような動きにうまく一致しています。ドラえもんの道具は機能がシンプルなものほど使われ方に幅が出る傾向がありますが、この道具もまさにそのタイプで、劇の小道具としても屋外の飛行道具としても、使い方次第でいろんな楽しみ方ができます。

タケコプターとは異なる点

ドラえもんで空を飛ぶ道具といえば、やはりタケコプターですね。フワフワオビはほとんど認知度のないひみつ道具に入りますが、タケコプターと異なる点がたくさんあります。まず移動スピード。フワフワオビはゆっくりと人が歩く程度の速度で漂うため、タケコプターとは圧倒的な能力差があります。

次にバッテリーの問題。フワフワオビには動力源らしきものが内蔵されているように見えず、ひょっとすると大気中からエネルギーを取り出して使っている可能性もあります。タケコプターはプロペラの回転という明確なメカニズムがありますが、フワフワオビは布がなぜ浮力を生むのかが謎のままです。未来の素材が持つ特性によるものなのか、それともドラえもんの世界の物理法則が少し違うのか、コミックを読み込んでいる人でも首をひねる部分のひとつです。

もう一つの大きな弱点が風に流されてしまうことです。強い風の日にフワフワオビを使っていると風に流されて制御不能になってしまいます。コミックでもしずかちゃんが風に流されて遠い山まで流されてしまうというハプニングがありました。これはコミック2巻「しずちゃんのはごろも」のエピソードです。タケコプターであれば自分で向きを制御できる分、この点でもかなり差があります。

重さ制限はあるのか

フワフワオビを使ったのは、しずかちゃん、サル、赤ちゃんの2人+1匹です。この中で一番体重が重たいのはしずかちゃんですが、仮に体重を30kgと仮定すると、フワフワオビは最低でも30kgのものを浮かべることができることがわかります。しずかちゃんが天女役として空を優雅に漂えたことを考えると、ある程度の重さには対応できる道具なのでしょう。

ただ、大人の体重でも同様に浮かべるのかどうかは、コミックの描写だけではわかりません。もし体重制限があるとすれば、大人には使えない道具ということになってしまいます。子供向けの軽い道具として設計されているのか、それとも体重に関係なく浮力が発生する仕組みになっているのか、気になるところです。コミックに大人がフワフワオビを使うシーンがないだけに、想像するしかないのがファン心理として少し歯がゆいですね。

安全性の確保が急務

空中でフワフワオビがほどけてしまうと、使用者は落下してしまいます。しずかちゃんも高い空から落下しましたが、幸いにも下が木だったため一命をとりとめました。フワフワオビが布であることを活かし、小さく折りたたんだ予備のフワフワオビをポケットに忍ばせておくなどしないと、必ず事故に繋がりますよね。

ひみつ道具のフワフワオビ
空中でその判断は無謀すぎる

ドラえもん2巻「しずちゃんのはごろも」P70:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

同じく空を飛ぶ道具としては空とぶじゅうたんもありますが、あちらはじゅうたんに乗るだけで飛べる分、体にフワフワオビを巻きつけて飛ぶこととは根本的に安全性の問題が異なります。どちらも落下リスクがある点では共通していますが、フワフワオビはほどけやすい布という素材の特性上、万が一のリスクが高い気がします。

屋内で使うのが正解

フワフワオビは安全性が確保されていないことも問題ですが、風に流されてしまうこともしっかり対策しなければいけません。屋外では急に天気が変わることもあるため、フワフワオビは室内の遊具として、もしくはコミックのように劇の小道具として使うのが正解です。

体育館のような広い屋内であれば、風の影響を受けずにふんわりと浮かぶ感覚を安全に楽しめるはずです。実際、劇の演出として使った「しずちゃんのはごろも」のシーンは屋内でのパフォーマンスという設定で、フワフワオビの魅力が最も引き出されていたといえます。ミニサイズハンググライダー雲ぐつなど空を移動する道具は複数ありますが、フワフワオビのふんわりした浮遊感はそれらとはまた違った体験を提供してくれます。

フワフワオビが実用されると

もし現代でフワフワオビが実用化されると、空の散歩を楽しむ目的よりも、介護現場で負担軽減のために使われる可能性が高いと考えています。体に巻きつけることで、最低でも30kgの重量が軽減されることになるため、介護で人を起こす時には重宝するはずです。安全帯として体に巻きつけておけば、落下事故防止にもなります。

また、舞台や映像制作の世界では、ワイヤーアクションの代替としても使えそうです。天女が天に帰るシーンをフワフワオビで演出したコミックのように、幻想的な浮遊表現を安全に実現できるのは大きな強みになります。手ぶくろパラシュートお子さま用のような落下を防ぐ道具と組み合わせて使えば、さらに安全性も高まるでしょう。ゆっくりと浮かぶことに特化したこの道具が、いつか現実の世界でも活躍する日が来ると、ドラえもんの世界と現実が少し近づく気がします。

フワフワオビの布という素材について

フワフワオビが布状の道具であるというのは、ドラえもんのひみつ道具の中ではかなり珍しい部類に入ります。タケコプターはプロペラという機械的な構造、どこでもドアは扉という建造物、タイムマシンは乗り物という形をしているのに対して、フワフワオビは衣類や小道具に近い素材感の道具です。

布という形状をとることで、使い方の幅がいくつかに広がります。体に巻きつける以外にも、大きな布として展開して複数人で使うことや、荷物に巻きつけて荷物を浮かせるといった用途も考えられます。コミックでは主にしずかちゃんが体に巻いて使うシーンが描かれていますが、発想次第でもっと多様な使い方ができそうな余地が残っています。

布が浮かぶという設定には、天女の羽衣というモチーフとの関係も感じられます。コミックのエピソードタイトルが「しずちゃんのはごろも」であることを考えると、意図的に天女の羽衣を道具化したイメージがあったのかもしれません。風のロケットが風という自然現象を道具として昇華しているのと似た感覚で、神話・伝説的なアイテムを未来技術で再解釈するというアプローチが、フワフワオビには色濃く出ています。

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