動物ライト

照射した相手を動物に変えてしまう、それが動物ライトです。コミックに一度だけ登場し、結局使われることはありませんでしたが、そのアイデアの突飛さは強く印象に残る道具です。

先生をゴリラに変えよう

のび太が学校のテストを回避する方法として、ドラえもんが提案したのが動物ライトで先生をゴリラに変えてしまえば、テストを受けなくてもいいという、なんとも奇想天外なアイデアです。ドラえもんは一応のび太の教育係として22世紀からやってきているはずなので、こういう考え方をするのはちょっと問題ですね。結局ドラえもんのアイデアは未遂で終わり、先生がゴリラになることはありませんでした。

これほど情報が少なすぎるため、色々なことが推測のままでしかありません。

  • 持続時間はどれくらいか
  • 変身した人間の意識はあるのか
  • 動物の能力を持つのか(チーターみたいに足が速くなるなど)

こうやって色々アイデアを広げるのも楽しいんですが、ドラえもんに登場するひみつ道具はいまいち機能がわからないものもたくさんあるんです。

それにしても、なぜテスト回避の手段として先生をゴリラにするという発想になるのでしょうか。ゴリラになった先生がテストを実施できないという前提があるとすれば、変身した後の先生は人間の意識を失うと考えられます。あるいは動物に変身した時点で教育活動ができなくなるという制度的な話かもしれません。コミックの中ではあっさりと提案されて却下されたアイデアですが、考えれば考えるほど奥深い設定を持った道具です。もしこの道具が実際に使われていたら、そのエピソードはどんな展開になっていたか、想像するだけで面白いですね。

似たような道具もある

動物ライトのように、姿かたちを動物に変えてしまうものや、動物の力を受け継ぐひみつ道具はたくさんあります。

動物変身ビスケット

動物の形をしたビスケットを食べると、一定時間その動物に変身していしまう道具。

関連ひみつ道具

食べてもおいしい!かんたんに動物に変身できちゃいます

動物変身ビスケット

変身リングとカード

ひみつ道具の変身リングとカード
どことものびたらしさは残る

ドラえもん41巻「無人島の大怪物」P131:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

カードをセットし、輪っかをくぐるとカードに描かれた動物に変身するひみつ道具。

動物ごっこぼうし

ひみつ道具の動物ごっこぼうし
しずちゃんの素直な感想が良い

大長編のびたとアニマル惑星P49:小学館てんとう虫コミックス藤子F不二雄

姿かたちは人間だが、その動物の能力を受け継いだり、動物から見ると仲間にも見られる道具。

ドラえもんが猫をモチーフにしたキャラクターのため、作者の藤子F不二雄さんも動物に関連する道具をたくさん用意したんじゃないかと思います。実際にドラえもん自体、ネコ型ロボットというだけあって、ドラえもんのひみつ道具の中には動物に関わるものが多数存在しています。動物ライトはその中でも、1回しか登場しないという希少な道具ですが、「照射した相手を動物に変える」という設定のシンプルさと大胆さは他の道具と一線を画しています。

動物ライトと生態系への影響

動物ライトが実用化されたとして、最も気になるのは変身後の対象の意識についてです。先生がゴリラになった場合、先生の意識はゴリラの頭脳の中に残るのか、それとも完全にゴリラとしての本能に切り替わるのかというのは、この道具の運用において非常に重要な問題です。もし意識が残るなら、変身させられた側はゴリラの体の中で人間の感覚を持ったまま閉じ込められるという恐ろしい状況になります。逆に意識がゴリラになるなら、元の人間に戻れる方法を知っているドラえもんがいない限り、変身解除できない可能性があります。

このように考えると、動物ライトは変身させる側にとっては便利でも、変身させられる側には計り知れないリスクを伴う道具です。コミックの中で実際に使われなかったのは、もしかするとドラえもん自身がこうした問題を認識していたためかもしれません。提案は出したものの、実行に至らなかったというのは、無責任に見えて実は賢明な判断だったとも読めます。

実現の可能性は今のところ無し

人を全く別の動物に変えてしまうことは、現代の技術では不可能です。細胞そのものを変化させる必要があるため、この類のひみつ道具は空想の中にしか存在できないと思われます。

着ぐるみを着て動物になりすますことはできますが、今の人間ではそれが精一杯。でも、もし動物に変身することができれば、夢が広がるひみつ道具でもあります。こうやって空想を広げられるのが、ドラえもんのひみつ道具のいいところなのかもしれません。

もし動物ライトが実現したとしたら、使い方次第で社会的な影響が計り知れないほど大きくなります。たとえば研究目的で動物に変身して生態を調べることができたり、危険な場所への人間の立ち入りの代わりに動物として調査できたりと、SF的な応用が考えられます。一方で悪用されると他人を勝手に動物に変えてしまうという凶器にもなりかねません。動物ライトがコミックで未使用のまま終わったのは、藤子先生がその危険性を意識していたからかもしれない、という読み方もできます。

動物ライトが仮に人々の手に届いたとして、最も使われそうな場面はやはりエンターテインメントの分野でしょう。動物園や水族館のような施設で、スタッフが動物に変身して来場者と交流するという体験型サービスが生まれるかもしれません。また映画やドラマの撮影でCGを使わずに本物の動物と自然に交流するシーンが撮れるという利点もあります。変身後の意識がどうなるかという問題が解決されれば、エンタメ業界にとって革新的な道具になる可能性を秘めています。

似た系統の道具として月光とうがあります。光を浴びると狼に変身できる道具で、コミックでは絶滅したと思われていたニホンオオカミの群れを探すためにのび太が使いました。動物ライトが相手を変える道具なのに対し、月光とうは自分自身が変身する点が異なります。

タヌ機はタヌキが人を化かすという昔話の力を道具に応用したもので、照射した相手に幻覚や強力な暗示をかけることができます。変身そのものではありませんが、相手の認識を変えるという意味で動物ライトと近い方向性を持ちます。

動物ごっこぼうしは大長編「のびたとアニマル惑星」に登場し、動物の能力を受け継ぐことに特化した道具です。姿は人間のままですが、動物の仲間として認識されます。動物ライトとは逆に、能力面に特化した設計といえます。

また動物変身ビスケットは食べることで変身が発動するタイプで、動物ライトと目的は同じですが発動方法がまったく異なります。ビスケットの動物の種類によって変身先が決まるという点で、ある程度コントロールが利きます。

あべこべクリームは塗った対象の性質を全て逆転させてしまう道具で、大きなものを小さく、重いものを軽くするなど根本から性質を変えてしまいます。動物への変身とはまた別ですが、対象を根本から変えてしまうという大胆なコンセプトは動物ライトと共通しています。

先生をゴリラに変えようを読み直すポイント

先生をゴリラに変えようは、効果の派手さだけでなく、使われる場面によって印象が大きく変わるひみつ道具です。ドラえもんの道具は、性能を説明するだけなら一言で済むものも多いのですが、実際のエピソードではのび太たちの性格やその場の空気が重なって、単なる便利アイテム以上の面白さが生まれます。先生をゴリラに変えようもその一つで、困りごとを解決する力と、使い方を間違えた時の危うさが同時に見えるところに読み応えがあります。

読者目線で考えると、先生をゴリラに変えようを自分ならどう使うか想像しやすい点も魅力です。学校や家、友だちとの遊び、ちょっとした失敗の場面など、日常の延長に置いて考えると、便利そうに見える一方で守るべきルールも自然に見えてきます。そこまで含めて読むと、先生をゴリラに変えようは笑える道具でありながら、未来の技術とどう付き合うかを考えさせてくれる存在でもあります。

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